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日漢協 ニューズレター 99号

(第33巻 第3号)2017年1月

生薬学教室を訪ねて[69]


岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 生薬化学研究室 波多野 力 教授

ポリフェノールを中心とした化学構造研究

60分授業・4学期制
明治3年(1870)に開校した岡山藩医学館を起源とする岡山大学の歴史は間もなく150年を迎えます。その後、医学館は岡山県医学校、第三高等学校医学部などと名称を変え、大正11年(1922)に岡山医科大学になりました。そして、昭和24年(1949)の学制改革により、同大学が中核となって、第六高等学校、岡山師範学校などを包括して岡山大学となり、現在に至っています。

現在、岡山大学は文、教育、法、経済、理、医、歯、薬、工、環境理工、農の11学部とMP(Matching Program Cource)コースを擁し、平成26年(2014)には文部科学省の「スーパーグローバル大学」に選ばれています。先駆的な教育改革にも取り組み、昨年からは全学の学士課程教育では60分授業・4学期制を取り入れています。

キャンパスは医学部、歯学部がある鹿田キャンパスと薬学部などの9学部がある639,621m2に及ぶ全国屈指の広さを誇る津島キャンパスがあります。地方の国立大学では新幹線の駅に最も近いとされ、自然豊かな交通至便なキャンパスとして知られています。

第三高等中学校医学部薬学科が前身
薬学部の歴史も古く、明治23年(1890)に第三高等中学校医学部に附設された薬学科に遡ります。しかし4年後には勅令により廃止の憂き目にあっていますが、雌伏75年、昭和44年、医学部に薬学科が設置され、翌45年に薬化学、生理化学、生薬学講座が開講されました。医学部から分離して薬学部(薬学科、製薬化学科)が設置されたのは昭和51年でした。

岡山駅から北に約2.5km、岡山市街地の津島キャンパスにある同学部は4年制の創薬科学科と6年制の薬学科から成っています。前者の研究分野としては有機医薬品開発学、生薬化学、合成薬品製造学、生体機能分析学、精密有機合成化学の6分野、後者は薬効解析学、生物薬剤学など14の分野で構成されています。

植物界からの新規化合物の開拓


波多野力教授と谷口抄子准教授


薬草園


薬学研究棟
波多野力教授が率いる生薬化学研究室は、谷口抄子准教授、薬用植物園担当の下津祐樹助教の3名のスタッフと博士課程6名、修士課程7名、学生14名が属する30名の大所帯で日々の研究に勤しんでいます。

波多野教授は初代の奥田拓男教授、二代目の吉田隆志教授に継ぐ三代目です。静岡薬科大学、岡山大学の修士課程を経て昭和54年(1979)に助手となりました。以来、二人の教授の後継者として世界に先駆けて、薬用植物や食材など天然素材中のポリフェノールを中心とした化学構造研究を行っています。

これまで数多くの新規化合物の化学構造を解明し、抗酸化作用、発癌プロモーション抑制作用、抗HIV抑制作用、宿主介在性抗腫瘍効果など種々の機能面についても開拓しています。

現在、取組んでいる主な研究テーマは「植物界からの新規化合物の開拓」と、難治性感染症プロジェクトの一環として中国の内蒙古大学生命科学院と共同研究を推進している「東アジアの薬用資源開発」で、主としてメチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)対する作用物質の開発を目標として研究を進めており、その成果が期待されています。