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日漢協 ニューズレター 100号

(第34巻 第1号)2017年5月

生薬学教室を訪ねて[70]


千葉大学大学院薬学研究院 遺伝子資源応用研究室 齊藤 和季 教授

薬用植物のゲノム機能解明とバイオテクノロジー

未来志向型大学
「つねに、より高きものをめざして」を理念とする千葉大学は、先進科学プログラム(飛び入学)を取り入れたり、未来志向型の大学として知られています。

その歴史は明治5年(1872)に開設された印旛官員共立学舎に遡り、以後、さまざまな変遷を経て、昭和24年(1949)、千葉医科大学、同大学附属医学専門部及び薬学専門部、千葉師範学校など千葉県内にあった7つの学校が包括され千葉大学が発足しました。

現在、昨年4月にグローバル人材の育成を目的に開設された国際教養学部を含め、文、法政経、教育、理、工、園芸、医、薬、看護の10の学部を擁しています。キャンパスは西千葉、亥鼻、松戸、柏の葉の4か所にあり、約15,000人の学生が学んでいます。

前身は第一高等中学校医学部薬学科
亥鼻キャンパスにある薬学部の前身は明治23年(1890)に設置された第一高等中学校医学部薬学科です。その後、大正12年(1923)に千葉医科大学附属薬学専門部と改称され、昭和24年(1949)に現在の名称である千葉大学薬学部になりました。

わが国でも指折りの長い歴史と伝統を誇る薬学部は6年制の薬学科と4年制の薬科学科から成っています。定員はそれぞれ40名、一括入試によって入学者が決定され、3年進級時に4年制か6年制かを選択します。

同学部が他大学の羨望の的になっているのが「亥鼻IPE」。これは医学部、薬学部、看護学部の3学部が必修科目として設けている専門職連携教育(Interprofessional Education)で、異なる専門職が互いを尊重し合いながら共に学び、互いから学び、互いを学んでいくプログラムです。1年次から3学部が合同で学び、互いに切磋琢磨しています。

研究組織は3研究部門、5講座から成り立ち、22の研究室、2つの連携協力講座、1つの寄付講座が研究活動を行っています。

千葉大学の薬学部と言えば、かねてから定評があるのが生薬、天然物、薬用植物関連の研究です。その伝統の通り遺伝子資源応用研究室の他に生体機能性分子研究室(髙山廣光教授)と活性構造化学研究室(石橋正己教授)があり、それぞれ意欲的に研究に取り組んでいます。

同大学では「千葉大学戦略的重点強化プログラム」と称して6つのプログラムを推進していますが、その1つとして採択されたのが「ファイトケミカル植物分子科学」と題するプログラムで、齊藤和季教授が推進責任者となっており、髙山教授らと着々と研究を進めています。

甘草のゲノム解読に成功


齊藤和季 教授


研究室の皆さん


亥鼻キャンパス正門
遺伝子資源応用研究室は、もともとの名称は生薬学研究室でした。生薬学、植物化学・生化学、未開拓薬用資源開発に加えて植物分子遺伝学とバイオテクノロジーの研究に着手していましたが、平成6年(1994)に薬学部附属薬用資源教育研究センターの設立と同時に誕生。その後、平成13年の大学院拠点化に伴う改変などを経て、今日の生命薬学研究部門ゲノム創薬学講座に属する研究室となり、齊藤和季教授を筆頭に山崎真巳准教授、吉本尚子助教、外国人特任助教、技術員、ポスドク各1名、博士課程大学院生3名、修士課程大学院生5名、学部生12名の26名で研究に勤しんでいます。

同研究室の目的はゲノム科学・ポストゲノム科学や分子生物学・バイオテクノロジーの進歩を基礎としての①薬用資源植物における物質生産をはじめとする有用遺伝形質の遺伝子レベルでの解明②この知見をもとにした植物の遺伝子改良研究の成果として昨年の秋には生薬「甘草」のゲノム解読に成功し、大いに注目されました。最近、話題になっているのが齊藤和季教授が著した『植物はなぜ薬をつくるのか』(文春新書)です。