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日漢協 ニューズレター 101号

(第34巻 第2号)2017年10月

生薬学教室を訪ねて[71]


北海道大学大学院薬学研究院 天然物化学研究室 脇本 敏幸 教授

天然生物活性物質の生命科学への展開

Boys, be ambitious like this old man
「少年よ、大志を抱け…」、W.S. クラーク博士の言葉で知られる北海道大学の歴史は、1876年(明治9)に設立された札幌農学校に遡ります。

初代教頭としてアメリカのマサチューセッツ農科大学から赴任したクラーク博士が理念としたのは、「高邁なる大志」、「平等と自由」、「独立心、自律心を持った個の確立」、「フィールド(現場)を重視した応用能力の醸成」でした。

その後、1907年(明治40)に東北帝国大学農科大学、1918年(大正7)に北海道帝国大学と校名が変わり、1949年(昭和24)に今日の北海道大学になりました。

以来、141年、クラーク博士が唱えた教えは、「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」「実学の重視」という4つの理念に昇華され、同大学の教育・研究の基本理念となっています。

学部数は国立大学で最多の12学部(文、教育、法、経済、理、医、歯、薬、高、農、獣医、水産)、21大学院を擁しています。敷地総面積も日本一で約6億6000m2で、国土の570分の1を占めています。

生化学面の充実を目標に発足


脇本敏幸教授


大学院薬学研究棟


医薬品資源として有望な
海綿動物の化学防御物質
設立から本年で63年を迎える薬学部は、1954年に医学部薬学科としてスタートしました。医学部から独立したのが1965年、生化学面の充実を目標として薬学科、製薬化学科が設置され、1992年(平成4)には両学科が統合されて総合薬学科に。2006年には薬科学科(4年制)と薬学科(6年制)に改組し、前者はライフサイエンスや創薬科学の研究者・技術者の育成、後者は指導的な薬剤師や医療薬学の研究者の育成を行っています。

現在、同学部には16の研究室と創薬科学研究教育センター、臨床薬学教育研究センターがあり、創薬や育薬に必要な研究分野が揃い、多種多様な研究が行われています。

従来の入試に変わり2011年に、新たな試みとして導入され、注目されているのが入学後に学部の移行ができる総合入試制度です。定員50名の薬科学科は35名が、定員30名の薬学科は21名が総合入試、残りの24名は後期試験の学部別入試で選抜されます。合格者はいずれも1年次は総合教育部に属し、同大の開校以来の伝統でもあるリベラルアーツ、幅広い素養を学び、2年次進級時に総合入試では己の適正に合った学部に移行します。学部別入試では学科分属が行われ、成績により薬学科と薬科学科に配属されます。





難培養性微生物の開拓と解析
天然物化学研究室の前身は生薬学研究室です。
1955年に薬化学、薬品分析化学講座研究室とともに誕生し、三橋博教授のもとにスタートしました。

現在、同教室を率いるのは2015年に東京大学から赴任された脇本敏幸教授です。講師、特任助教、秘書の4人のスタッフと、ポスドク2名、大学院生7名、学部生8名の21名のメンバーで構成されています。

研究テーマは
・海洋生物の生物活性物質の単離・構造研究
・天然医薬品資源としての難培養性微生物の開拓と解析
・海洋生物由来生物活性物質の生合成研究
・生薬や食品有効成分の作用機序解析と医薬品への有効利用

以上を課題としており、自然の摂理を医薬品開発に応用、展開することを目指しています。今後の成果が期待されています。