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加齢はこわくない -すてきに歳を重ねるために-

加齢に伴う症状を得意とする漢方


漢方で何が変えられるの?
加齢に伴う変化に対し、漢方治療ではどのようなことができるのでしょうか。漢方治療で期待される効果には、脂質代謝の改善、抗酸化作用による動脈硬化の予防、微小循環・脳血管の血流の改善、消化機能の改善、免疫機能の回復、新陳代謝や基礎体力の改善などがあります(図6)。


脂質代謝の改善は肥満や動脈硬化の予防といった効果があります。微小循環の改善は心筋などいろいろな臓器の負担を軽減し、脳血管の血流改善は脳卒中や痴呆の予防になります。また消化機能の改善は食欲不振を改善し、それは結果的にエネルギー摂取量を増やすことになって元気をつくります。免疫機能の回復は感染症の予防で、さらに新陳代謝・基礎体力の改善で全身倦怠感などをなくして全身状態を良くすることになります。

こうした治療は体質改善的な要素が大きいものです。脂質代謝や微小循環などは、身体の一部分を取り出して治せるというものではありません。西洋医学では悪い場所を特定してその部分を集中的に治療するという考え方ですが、これに対して漢方治療では、身体全体をひとつの世界としてとらえ、その世界の中の生命活動のバランスを整えることを目的にします。加齢に伴う変化は、全身のいろいろな機能が少しずつ狂ってきているという状態ですから、こうした身体の状態を総合的に診て、機能のバランスを改善するという考え方は加齢変化の治療に適していると言えます。
不快な症状に使われる漢方
加齢に伴う不快な症状の治療を目標に使われる代表的な漢方薬には、次のようなものがあります(表5)。

これらはいずれも漢方処方のごく一例です。漢方処方は患者さん一人一人で処方が異なりますので、必ず医師か又は薬剤師に相談してから使うようにしましょう。

高齢者によく使われる漢方‐補剤
高齢者に特に良く使われる漢方薬をみると、「補剤」といわれる種類の処方が多いことが分ります。漢方は、「足りないものを補い、過剰なものは抑える」ことで正常な身体のバランスをとることを基本としますが、補剤はこの中で、心身のエネルギーが衰えて精神的・身体的な能力が減少しているような場合にその衰えた部分を補充する働きをする漢方薬を意味します。つまり「足りないものを補う」漢方薬の総称です。加齢は、いろいろな機能が低下する現象ですから、補剤が大活躍するわけです。

ここで示した表5にある十全大補湯は代表的な補剤で、病後や術後の体力低下や虚弱体質の改善などに使われ、免疫力をアップさせる働きがあることが科学的にも証明されています。全身倦怠感が強いときにはこうした補剤を使います。

また、高齢者に特に使われることが多い八味地黄丸や牛車腎気丸は、厳密には補腎剤と言われます。読んで字の通り、腎気の衰え(腎虚)によって起きる不快な症状に対して、腎気を補うことで治療効果を発揮する漢方薬です。腎虚の症状には夜間頻尿や性欲減退、四肢のしびれやほてり、めまいや耳鳴り、抜け毛(脱毛)などがあります。前立腺肥大による夜間頻尿に対する八味地黄丸や牛車腎気丸、しびれや痛みに対する牛車腎気丸などの改善効果は、科学的にも証明されており、臨床でも良く使われています(10頁参照)。