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ストレスと漢方 ―ストレスと上手に付き合うために―

ストレス対策に漢方の知恵をとり入れよう

ストレスと上手に付き合っていくために、漢方は何ができるでしょうか。 漢方の考え方の基本は「心身一如」。心の問題も身体の症状もひとつ、 と考えて治療をしていこうというものです。 この考え方は、ストレスから病気が生じるメカニズムと合っているため、 漢方を大いに活用することができます。
漢方は身体全体を診る
西洋医学では臓器別に異常を探し出し、治療を行います。原因が明ら かな病気には大変効果的ですが、ストレスに関連した症状のように、原 因がひとつに絞れない、あるいは、はっきりしないようなケースでは、 治療が難しくなってしまいます。たとえば、胃潰瘍という病気に対して 薬を処方し、胃潰瘍を治すことはできます。しかし胃潰瘍の一因になっ ている、あるいは悪化させている「ストレス」まで解決することはできま せん。

一方、漢方では身体全体を診ることを基本にしています。心身のアン バランスが不調の一因になっていると考えて、身体全体を良い状態にす ることで各々の症状も治してしまおうというのが漢方です。そのため、 原因が特定しにくく、病態とのかかわりがはっきりしないストレスの治 療には大変便利なのです。
「未病」の段階でケアを
漢方には「未病」と言う考え方があります。未病とは、病気と言うほ どではないけれど健康とは言えない状態を指します。未病の段階では、 いろいろな兆候はあるものの、検査をしても異常が見つからなかったり、 取り立てて日常生活には支障がないので、危機感を抱いている人はあまり 多くありません。そのため、つい無理を続けてしまいがちです。

しかし、身体に現れているさまざまな兆候は、「助けて!」という危険 信号です。そのままにしておくと歪みは大きくなり、ちょっとしたこと がきっかけで病気になってしまう危険もあります。心と身体に大きなト ラブルが生じる前の未病の段階で予防をしていくことが大切なのです。

病気の治療とともに体調を整えることを大きな目的としている漢方薬は、 未病のケアが得意。ひとつの症状を改善するばかりではなく、全身をベ ストな状態に導いてくれるのです。身体の調子が良くなれば、気持ちも 前向きになるもの。何となく体調が悪いという段階で、早めに対策を立 てるのが病気予防のポイントです。
気・血・水の乱れに注目
漢方では一人一人の体質や症状、精神状態をいろいろな尺度で把握して、 それに合わせた漢方薬を処方します。尺度にはいくつかありますが、代表 的なもののひとつが「気・血・水」の3要素です。「気」とは、「元気」「気力」 などの言葉から連想されるように、目に見えない生命エネルギーのこと。 「血」とは血液とその働き、「水」は血液以外の水分とその働きを指します。 漢方では身体の中でこの「気・血・水」の3つが過不足なく保たれ、循環して いる状態を「健康」と考えているのです。

気・血・水のどれかが不足したり、滞ったりしてバランスが崩れると、 体調は崩れます。たとえば「気」の場合、過度のストレスが加わることで、 気の量が不足する「気虚」、気の流れが滞る「気うつ」、気が正常に分布し ない「気逆」などが生じます。こうした気の異常は、さまざまな症状と して心や身体に現れてくるのです。血や水の場合も同様で、それぞれが 独立しているわけではなく、相互に影響を与え合っています。
個人に合った処方を選ぶ
そこで漢方では、気・血・水の足りない部分を補ったり、流れをスムー ズにしたりすることで、心身のアンバランスを調整し、身体の機能を正 常化させていきます。

さまざまな処方の中から、その人が困っている症状のほか、「証(漢方 独自の体質)」などを参考に、その人に最も合った処方を選択していくの です。表はその一例です。

たとえば、憂うつや不安、不眠、イライラなど、主に精神症状が現れ ているような場合には、半夏厚朴湯や香蘇散を処方します。そのほか、 胃腸が弱くて体力がない場合は六君子湯や柴胡桂枝湯など、頭痛やめまい、 肩こりなどには葛根湯や半夏白朮天麻湯を処方します。また、気・血・ 水でいくつか症状が重なっているケースも多く、いずれも体質を見極め てどの歪みがどの程度強いかを判断し、処方を決定します。