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胃腸と漢方 ―健康な心と身体は元気な胃腸から―

漢方治療に直結する「証」


「証」からわかること
四診などで得られた情報をもとに、漢方独自の指標に当てはめて「証」を決定します。 とくに重視されている指標には「虚・実」「陰・陽」「気・血・水」などがあります。

■ 虚・実
「虚・実」は、基礎体力や体質、抵抗力の強さなどを判断する指標とし て用いられています。「虚証」は生命力が低下し、体力や抵抗力、闘 病能力が乏しくなった状態であり、反対に「実証」は生命力や 体力に余裕があって積極的な治療に耐えられる状態を指します。
一般に、年齢を重ねるとともに虚証気味になり、また女性は男性よりも虚証の人が多 い傾向があります。
なお漢方では、虚証と実証どちらかに極端に傾いている状態は好まし くないとされており、バランスのとれた状態(中庸)を理想としています。 虚実の違いによって、処方される漢方薬は大きく異なります。

■ 陰・陽
「陰・陽」は漢方の診療においては、一般に「熱がある状態、新陳代謝が 活発な状態」を「陽証」、反対に「冷えている状態、新陳代謝が低下し た状態」を「陰証」と考えます。これは、急性の疾患における病態に ついても、普段の体質についても言えることで、急性疾患では病初期は 「陽証」で病気と闘う力が盛んですが、病気が進行するに従って病気と 闘う力が衰えた「陰証」に移っていくことが一般的です。
治療の観点からは「陽証」に対しては「冷やす治療」を、「陰証」に対して は「温める治療」を行うことが原則です。
胃腸症状を判断する重要な指標、気・血・水
漢方診療の指標の中でも「気・血・水」は基本になっており、身体全体のバランスが整っていて元気な状態を 「気血水が整っている」といいます。
この「気・血・水」は、胃腸症状を判断する際の非常に重要な材料となっています。では「気・血・水」とはどの ようなものなのでしょうか。

■ 気は、「元気」「気力」「やる気」という言葉で表されるような目に見えない『生命エネルギー』を指 します。また、「気分」や「気持ち」といった精神状態や、「空気」「気体」といった『ガス』の意味も含んでいます。

■ 血は、全身を巡り、栄養分を運ぶ作用のある物質、現代医学のほぼ血液の意味に近く、『血液とその働き』を表しています。

■ 水は、汗や痰、鼻水、リンパ液など、『血液以外の水分とその働き』を指します。

漢方では「人間の身体は気・血・水の3要素が体内をスムーズに循環することによって維持されている」と 考え、これらが過不足なくバランスを保って順調に循環していることを「気・血・水が整っている」健康な状態 とみなしています。

逆にこのうちのいずれか、あるいはいくつかが不足したり、滞ったり、偏ったりすると、不調や病気、障害 が起きてくると考えられています。