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漢方が、あなたのためにできること

彼が調子を崩したワケ


漢方の考え方について48歳の男性会社員Aさんの例を挙げて説明しましょう。Aさんは生真面目な性格で仕事熱心。最近は、仕事量が増えるとともに酒の量も増え、深夜帰宅が続いて睡眠時間は短くなっていました。もともと健康には自信があったAさんですが、ぐっすり眠っても疲れが取れないまま出勤、という状態だったといいます。そんな無理がたたって、健康診断で血圧が155の90という結果に。医師からは「正常値との境界ギリギリで高めですよ」と指摘されてしまいました。 しかしAさんにとっては血圧が高いよりも疲れが抜けにくいことのほうが大問題。薬局で「なんとか疲れを取る方法はないだろうか」と相談したところ、薬用酒を勧められました。さっそく飲んでみると、飲んで遅くなった翌朝の胃もたれが減って、だいぶ楽になったそうです。「それなら漢方もいいかも」と考えたAさんは薬局に行き、棚に並ぶたくさんの種類の漢方薬の中から自分の症状に合いそうなものを探しました。そこで選んだのが、「元気がなく胃腸の働きが衰えて疲れやすい人向け」と書かれた「補中益気湯」だったのです。さらに友人から勧められた生薬エキスの入ったサプリメントも併用することにし、これだけ補強すれば疲れもとれるだろうと安心していました。 しかしAさんの仕事がますますハードになった数か月後のある日、これまで経験したこともないような激しい頭痛と動悸が起こります。血圧を測ってみると、なんと190の105に。Aさんはびっくりする一方で、なぜこんな結果になったのか、まったくわからなかったといいます。 身体にいいことをやったはずなのに、なぜAさんは体調を悪化させてしまったのでしょうか。実はAさんが飲んでいた薬用酒、漢方薬、サプリメントにはすべて「朝鮮人参」が入っていました。朝鮮人参はもともと虚弱体質や体力が低下している「虚証」の人の消化機能を助ける生薬です。しかし、もともとAさんは健康には自信があるエネルギッシュな人。漢方でいう「実証」の体質の人です。たまたま仕事が立て込んで疲れただけで、もともと体力のない「虚証」ではありません。 実証の人の場合、すでにコップの中に多めに水が入っているような状態で、本当なら多すぎるぶんを外に出してバランスを取らなければならないはず。しかしAさんは朝鮮人参のようなエネルギッシュなものを摂ることでさらに水を注ぎ、あふれさせてしまったのです。逆に水を少なめにする治療こそがAさんには必要だったと言えるでしょう。