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がん治療と一緒に漢方を

3.漢方製剤や生薬製剤の安全性・品質管理・副作用

漢方薬は、中に入っている生薬の種類や配合量によって、処方名が決められており、近年は生薬それぞれの薬理学的な作用が明らかになってきました。たとえば六君子湯を構成している生薬の一つ「陳皮」(みかんの皮)の主成分であるヘスペリジンは、コレステロールや血圧を低下させる、骨密度の低下を抑制する、不安を抑える、血管を補強するといったさまざまな作用が報告されています。

日本の伝統医学である漢方に使われている原材料(生薬)は、多くが日本産や中国産のものが基本。へスペリジンも、「日本や中国で栽培される温州みかんの皮」に多く含まれています。同じ柑橘類でもレモンやバレンシアオレンジではダメなんですね。

漢方薬の効果は、昔の人が「これはなんとなくいいぞ」と経験的にわかっている程度で、実際に効いているものの、どのようなしくみで効いているのかわからないままだったのです。しかし、ここ数年の間に現代医学でその作用機序を証明できるようになったことで、守備範囲は広がりつつあります。また現代医学中心の臨床の現場においても、抵抗なく使う医師が増えてきています。

漢方薬は「薬」。自己判断は避ける
漢方薬を健康食品のように考える人も多いのですが、薬である以上、副作用が生じることもあります。とくに抗がん剤治療をしている患者さんは体調が不安定なので、正しい飲み方をしなければ命にかかわります。これは、高脂血症の薬、血圧の薬、糖尿病の薬など、西洋医学的な薬に対する注意と何ら変わりはありません。

また、「個人輸入した漢方薬を飲んだら死亡した」「海外旅行のおみやげでもらった漢方のやせ薬で体調を崩した」といったニュースがしばしば報道され、不安に思っておられる方も多いでしょう。

実はこれらは、日本の医療用や一般用の漢方薬とは異なるもの。日本ではすべて、製造販売承認を得てから製品化されます。厚生労働省の基準はとても厳しいものですが、さらに製造する企業も日本漢方生薬製剤協会と日本製薬団体連合会が共同で作成した製造と品質管理に関する自主基準(簡単に漢方GMPと略されます)に準じてチェックを行い、処方する医療者も自主規制をしています。つまり3段階のチェックをしているということです。

原料の生薬についても厳格な取り決めがあり、それをクリアしなければ、医療用や一般用の漢方薬として認められません。漢方薬であれば、全国どこでも同じ、安全な薬だということが保証されているのです。

なお、漢方薬は薬局で直接購入するイメージが強いかもしれませんが、医療用漢方薬は西洋薬と同じように病院で医師の診察を受け、自分の体質や症状に合った薬を処方してもらいます。治療には健康保険が適用されます。(健康保険が適用されない医療機関もありますので、事前にご相談ください。)

また、漢方薬は体質に重点を置いて処方する薬なので、同じ病気でも合う・合わないが分かれてしまう場合が少なくありません。「この風邪薬は効いたからあなたにもあげる」などと親切心で使い回さないようにしてください。