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漢方で すこやか生活

2.漢方薬の特徴


複数の生薬が配合(組み合わせによる効果)
漢方薬は、理論や経験に基づいて原料となる生薬が、定められた量の組合せで構成されています。生薬の組合せにより、薬効の増強や作用の変換そして毒性抑制などが知られています。漢方医学では構成する生薬のそれぞれの薬効ではなく、処方としての漢方薬の効果が重要になります。

たとえば、葛根湯は、下記のイラストのように七つの生薬の組合せで構成されています。葛根湯は熱性疾患(感冒など)の初期に、悪寒、首から肩にかけてのコリ、自然発汗がないなどの症状を指標に使用されます。

構成生薬のマオウは発汗作用が強くケイヒとの組合せではその作用が増強されます。ところが、セッコウとマオウを組合せると、止汗作用が現れることが知られており、この作用を期待する漢方薬に配合されます。


また、ハンゲ(カラスビシャクの根茎)は悪心嘔吐をおさえる漢方薬の構成生薬として使われますが、刺激性(えぐみ)が強いことが知られています。この毒性は、ショウキョウを組合せることで抑えられ、嘔吐をおさえる作用が増強されます。

抗生物質を処方されると、胃腸の負担を抑えるために胃薬が処方されることがありますが、漢方薬は一つの処方の中で、毒性抑制が実現されていることになります。

生薬製剤との違い
生薬製剤と呼ばれる医薬品があります。原料として生薬を組合せた構成なので、漢方薬と非常に似ていますが、成り立ちが異なっています。昔僧侶などが庶民のために薬草を配合して使用したり、大名の御典医が独自に配合した処方などが伝承され、近代になって製剤化された医薬品です。漢方薬は天然由来の生薬のみで構成されていますが、生薬製剤は合成薬が配合されていることもあります。また、漢方薬の処方名は一般名であり、たとえば葛根湯はどのメーカーでも同じ名前ですが、生薬製剤はメーカーが命名した独自の製品名です。

民間薬との違い
漢方薬と混同されることの多いものの一つとして、民間薬を挙げることができます。民間薬は、古くから人々の間で言い伝えられ、利用されている薬草などで、ドクダミ、センブリ、ゲンノショウコなどを指します。多くの民間薬は、単一の薬草のみを使用し、原料生薬の配合比率が決められている漢方薬と大きく違います。民間薬は室町時代には知られており、医師の診察や薬を与えられる機会が少なかった庶民の経験が伝承されてきました。


中医薬との違い
漢方医学は、古代中国起源の医学が日本で独自の発展を遂げた、日本の伝統医学です。中国や韓国で独自に発展を遂げた伝統医学は、中医学そして韓医学と呼ばれ、それぞれ異なった医学体系を形成しています。中国医学の起源は数千年の歴史の中で、哲学および経験により培われ、今から約1800年前に疾患の経過と治療法が『傷寒論』にまとめられ、現代まで伝えられています。

日本には、5〜6世紀ごろ朝鮮半島を経て伝来したと考えられています。その後も遣隋使や遣唐使により、医学文化が直接持ち帰られました。その医学が、日本の風土や日本人の体格などに合わせて独自の発展をし、江戸時代の中期には日本化が一気に進行しました。このころ、従来の医学と体系を異にする西洋医学がオランダから伝来します。オランダの漢字による当て字「蘭」を用いて、この医学を蘭方と呼ぶようになります。日本の伝統医学を区別する必要が生じ、中国を意味する「漢」の字を当て、漢方という呼称が使われるようになり、この医学で用いるお薬を漢方薬と呼ぶようになりました。中国の伝統医学である中医学で使用されるお薬は中薬もしくは中医薬とよばれ、韓国の伝統医学である韓医学で使用されるお薬は韓薬と呼ばれています。