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漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン

国内の診療ガイドラインへの漢方製剤記載の実態調査

漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン

日本漢方生薬製剤協会 医療用漢方製剤委員会 有用性研究部会
掲載日:2023/9/12


診療ガイドラインとは、医師が適切な診断と治療法を決定するために作成された文書のことです。
日本漢方生薬製剤協会では、日本東洋医学会と協力して、国内における「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン(KCPG)」の調査を行っています。ここでは、その掲載ガイドライン数や漢方薬の掲載処方数の推移について、日本漢方生薬製剤協会内でまとめましたので、公開いたします。


漢方製剤の診療ガイドライン掲載数推移(2013-22)

「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン」では、漢方製剤の記載があったガイドラインについて、漢方製剤が記載されている部分が、エビデンス (引用論文) に基づいた記載であるかどうかについて、3つのタイプに分類しています。
  • タイプA:引用論文が存在し、エビデンスと推奨のグレーディングがあり、その記載を含むもの
  • タイプB:引用論文が存在するが、エビデンスグレードと推奨のグレーディングのないもの
  • タイプC:引用論文も存在せず、エビデンスグレードと推奨のグレーディングのないもの
診療ガイドラインのタイプ別掲載数推移については、2013年のタイプA:20件、タイプB:24件、タイプC:30件から、2022年現在、タイプA:37件、タイプB:62件、タイプC:53件となりました。

漢方製剤掲載GL中の処方名が掲載されているGL数(2013-22)

「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン」は、「漢方薬」とだけ掲載されているガイドラインも含んでいます。しかし、治療薬として用いられるのは漢方処方であるため、処方名で掲載されているガイドライン数を把握する調査をしました。その結果は以下のとおりです。

2022年では152件中111件(73%)となっており、2013年の74件中45件(61%)から12%増加しました。

診療GLに掲載されている処方の数(2013-22)

さらに、診療ガイドラインに掲載されている漢方処方の数は、2013年の76処方から2022年は113処方となりました。

医療用漢方製剤の漢方処方数は現在148処方であるため、約76%が診療ガイドラインに掲載されていることになります。

EBM普及推進事業(Minds)※への漢方製剤記載GLの掲載

※厚生労働省委託事業 公益財団法人日本医療機能評価機構
EBM普及推進事業(Minds)Medical Information Distribution Service

また、今年度よりMindsへの掲載有無についても調査を行いました。結果はご覧の通りです。
Mindsに掲載されている436ガイドライン(旧版を除く)のうち、漢方薬に関連する記載があるものは76件(全体の約17%)でした。さらにそのうち、具体的な処方名が記載されているガイドラインは43件(漢方薬記載の57%)でした。
(2023年9月時点)
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調査元データ:日本東洋医学会 EBM委員会 漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン(KCPG)