99号 (第33巻 第3号)2017年1月
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厚生労働省 医療・生活衛生局長 武田 俊彦 |
新年明けましておめでとうございます。
年頭に当たり、今年の医薬品、医療機器、再生医療等製品の行政を展望し、所感を申し上げます。
近年、国民の健康志向の高まり等を背景に、医薬品および医療機器等の品質、有効性および安全性に対する国民の関心が一層増しております。また、少子高齢化の進行、再生医療等の科学技術の進歩、国際化の進展など、行政を取り巻く環境も変化を続けています。
厚生労働省では、国民の皆様に有効かつ安全な医薬品、医療機器、再生医療等製品をできる限り早くお届けするため、様々な施策を進めており、ドラッグラグ・デバイスラグは近年減少傾向にあります。この傾向を維持していくため、承認審査等を行う独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の機能の強化に努めてまいります。
さらに、一昨年度から臨床試験成績等から著明な有効性が期待できる画期的な医薬品、医療機器、再生医療等製品を各種支援により通常の半分の審査期間で承認することを目指す「先駆け審査指定制度」の試行的運用を行っておりますが、昨年二回目の募集を実施しました。本年も、制度の活用を進め、医薬品、医療機器、再生医療等製品の世界に先駆けた早期承認を目指してまいります。
また、革新的な医薬品、医療機器、再生医療等製品の創出をさらに促進するためには、医療系ベンチャーを育てる好循環を確立することが重要です。「医療のイノベーションを担うベンチャー企業の振興に関する懇親会」の報告書に示されたように、革新的であるものの患者数が極端に少なく開発が困難なものに対しては、市販前の臨床試験実施にかかる負担を最小化し、市販後の調査をより充実させること等により、イノベーションの実用化を支援してまいります。
一方、そのような取組の中で承認された革新的な医薬品の中には、有効性の発現の仕方、副作用の種類や頻度が独自なものがあります。その有効性および安全性を最大限発揮できるように、最適な使用を推進することが重要です。このため、このような革新的な医薬品の使用に適合する患者、医師、医療機関の要件等を示す最適使用推進ガイドライン(仮称)を作成し、医療現場での普及に努めてまいります。
また、大規模な医療情報の収集、解析に医療情報データベースシステム(MID-NET)などのICTを活用し、医薬品の安全性を高めていくための検討を進めます。さらに、民間利活用開始に向けた環境整備も着実に進めてまいります。
現在、日本の少子高齢化により、献血可能な人口が減少しています。そのような中でも、将来にわたり血液の安定供給ができる体制を確保すべく、特に若年層への普及啓発活動の強化等、献血の推進に取り組んでまいります。また、血液製剤の安定供給に向けては、昨年十月、「ワクチン・血液製剤タスクフォース」の「顧問からの提言」で提案いただいた事項の検討を進めてまいります。
国際的な取組に目を向けますと、本年十月には、日本、米国、EU、中国等世界二十三ヶ国の薬事規制当局の責任者が集まる「薬事規制当局サミット」が京都で開催され、日本が初めて主催します。各国と連携しさらなる国際規制調和、国際協力を進めてまいります。
また、近年の国際化の進展に対処するために「国際薬事規制調和戦略」を策定しており、これを着実に実施してまいります。昨年は、PMDAにアジア医薬品・医療機器トレーニングセンターを設置し、国内外で、アジア等の規制当局を対象とした医薬品・医療機器の治験、審査、GMPなどに関する研修を開始しました。また、台湾の新薬の簡略審査制度においてその対象に日本が追加されるなど、二国間の取組でも成果を上げています。
地域で暮らす方々が医薬品等を適切に使用いただく環境づくりも重要です。地域住民から真に評価される医薬分業の実現に向けて、かかりつけ薬剤師・薬局を推進するため、「患者のための薬局ビジョン」を踏まえ、昨年から各都道府県でモデル事業を実施いたしました。さらに、昨年十月から届出、公表が始まった「健康サポート薬局」を通じた、地域住民による主体的な健康維持、増進のための積極的な取組も推進してまいります。
併せて違法薬物対策にも力を入れていく必要があります。危険ドラッグは、一昨年には実店舗を全滅に追い込みましたが、それ以降、インターネット販売やデリバリー販売等に移行し、販売方法が巧妙化、潜在化の一途をたどっています。引き続き、関係機関一丸となり危険ドラッグ撲滅に向けて取り組んでまいります。
その一方で、危険ドラッグの取締強化により、違法薬物の使用は大麻に回帰する傾向がみられます。大麻は、世界で最も乱用されている薬物であり、国際条約において最も危険性の高い麻薬であるヘロインと同等の厳しい規制がなされています。昨年、有名人や高校生などが大麻所持で逮捕されるという事件が相次ぎ、深刻な問題となっています。特に若者の事件が多くなっているため、若者向けの薬物乱用防止の啓発にさらに力を入れるとともに、取締を徹底してまいります。
今後とも、国民の皆様に有効かつ安全な医薬品、医療機器、再生医療等製品をできる限り早くお届けするという責務を果たしてまいります。その際、高額薬剤に関する社会の関心の高まりを踏まえ、医薬品の適正な使用の推進にも努めてまいりたいと考えます。さらに、高齢化社会における医薬品の適正使用には、薬剤師の役割が極めて重要であることから、薬局、薬剤師のあるべき姿の実現を図ってまいります。このような取組に向け、関係者の皆様とも、透明性のある率直な意見交換等を行いながら、施策を進めてまいりたいと考えています。
皆様の医薬品・医療機器行政に対する一層の御理解と御協力をお願い申し上げますとともに、皆様方のますますの御発展と御多幸をお祈りしまして、新年の御挨拶といたします。
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日本漢方生薬製剤協会 会長 加藤 照和 |
新年おめでとうございます。
改革の年と言われます本年2017年は、新たな『中長期事業計画2017(5カ年計画)』を5月の総会において策定・スタートする、私ども日漢協にとって極めて重要な年であります。現在の『中長期事業計画2012(5カ年計画)』では、国民医療において、費用対治療効果の高い治療薬として貢献すべく、漢方製剤のエビデンス構築を推進し、作用機序の解明やより高い次元でのデータの集積に取り組んで参りました。その結果、関係者のご尽力により数多くの漢方製剤が治療のガイドラインに掲載されるなど、臨床におけるエビデンスベースでの治療が加速してきております。日本の誇れる伝統薬である漢方製剤が、西洋医学との調和を図り、国民医療に役立ていただけますよう、さらに漢方製剤のエビデンス構築を加速させていくことを、年頭にあたり固く決意しているところであります。
日漢協は、医療用漢方製剤、生薬、一般用漢方製剤、生薬製剤、原薬エキスの五つの業態において、それぞれの会議体・委員会で活動しておりますが、自然由来の植物等を原料とする医薬品であるという共通点から、原点ともいうべき「原料生薬の安定確保」と「原料生薬から最終製品までの品質確保」を、最優先課題として取り組んでおります。
「原料生薬の安定確保」については、次の2点を中心に取り組んでおります。
一点目は、中国からの原料生薬の調達の課題解決に向けた取り組みであります。原料生薬に関する最新情報、中国国家レベルのプロジェクトである、「中薬材の発展と保護計画」の進捗状況や、「医療サービスまでを含めた発展計画」などの情報の収集と、さらなる品質向上に向けた意見交換を通じて相互理解を深めるなど、日漢協訪中団による「日中伝統薬交流」を推進しております。
二点目は、国内における生薬栽培の推進です。厚労省、農水省、日漢協で3年間に亘り取り組んでまいりました「薬用作物の産地化に向けたブロック会議」において、地域に応じた栽培方法の確立および指導者の育成が必要であること、種苗確保の重要性などの課題が存在していることが明確となりました。そこで、2016年度は農水省の「薬用作物産地支援体制整備事業」において、日漢協は、全国農業改良普及協会と共同で「薬用作物産地支援協議会」を立ち上げ、事前相談窓口の設置および地域相談会の開催により、生産者サイドへの説明と適切な助言等を行うと共に、栽培方法の確立や種苗の確保について協力させていただいております。こうした産地支援活動を2017年度も継続いたします。
「原料生薬から最終製品までの品質確保」については、国際基準であるPIC/S GMPにおいて、製品のみならず原料生薬レベルでの品質確保が要求されており、日漢協版GACPに基づいて原料生薬の品質確保を推進しております。また、昨年、実施されました製造販売承認書と製造実態の整合性に係る一斉点検では、整合性が十分確保されていない点も明らかとなりました。これを受けて現在、ICH Q10医薬品品質システムの導入を推進すると共に、変更管理をさらに徹底する施策を進めております。会員各社は、品質保証に対する責任を果たす仕組みを着実に構築してまいります。
昨年8月には、日本東洋医学会と共同で「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」を立ち上げ、3回の研究会を開催いたしました。
1回目の研究会では、がん領域における漢方薬を用いた、がんの術後合併症・後遺症や化学療法の副作用に対する支持療法におけるエビデンスの構築や、国民に対する科学的エビエンスの情報発信などの提言をいただきました。2回目の研究会では、高齢者の筋力や認知機能などの身体活動が低下している「フレイル」において、治療効果を落とさず上手に処方数を減らし、副作用を軽減するために漢方薬を活用すべきであり、副作用に関するエビデンスの創出や新剤形の開発を加速すべきであるなどの提言をいただきました。3回目の研究会では、多成分系医薬品の製造承認や品質保証に関するガイドラインの策定、最新科学やビッグデータ、実臨床に基づく漢方製剤の新たな疾患への利用であるリポジショニングなどについてのご示唆がありました。
2月9日に開催される「フォーラム」では、これら3回の研究会における総括を受け、最終的な報告・提言がなされる予定です。
この漢方の将来ビジョン研究会には、厚労省、農水省、PMDA、AMED等、日頃ご指導いただいております関係各位の皆さまにも多数ご参加いただいており、漢方の現状と課題が広く情報共有され、産官学が連携し、諸課題の解決に向けた共通認識が形成されていくものとたいへん感謝しているところでございます。
国内トップオーソリティの先生方から多岐にわたる貴重なご意見を頂戴いたしましたこの漢方の将来ビジョン研究会の成果を一層浸透させるとともに、様々な課題の解決に向かって全力でお応えしなければならないと身の引き締まる思いであります。これらの活動で必ず国民の皆様の健康と医療に貢献できると信じております。
また、一般用医薬品については、本年1月より、いよいよセルフメディケーション税制がスタートしました。国民のセルフメディケーション意識向上のためにも、需要が高まっている漢方・生薬製剤が、この税制の対象となるよう一般薬連を通じて活動を強化してまいります。
国際関連では、中国伝統医学の標準化を目指したISO/TC249において、特に、原料の生薬に関しては漢方医学と中医学とで共通となる部分が多いため、日本のレギュレーションに影響が及ばないように、関係省庁や関係機関と協力し対応しております。
冒頭申し上げましたように、本年は『中長期事業計画2017(5ヵ年計画)』のスタートの年であり、様々な課題解決に向け、スピード感をもって取り組んでいかなければなりません。皆様方の変わらぬご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。
(株式会社ツムラ 代表取締役社長)
医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 長谷川 久(株式会社ツムラ)
- 医療用漢方製剤委員会
- 流通適正化部会
- 医療用医薬品の販売包装単位での「製造番号」「有効期限」と元梱包単位の「製造番号」「有効期限」「数量」のバーコード必須対応について、8月30日に厚労省から三課長通知として発出された。平成33年4月以降の出荷分からについては必須となる。
- 9月29日開催の製薬協コード実務担当者会の内容(「ホームページへのコンテンツ掲載に関する指針」「社内審査体制の会員会社アンケート」「第三者審査」「プロモーション用補助物品」)について、会員各社と情報を共有した。
- 教育研修部会
- MR漢方教本Ⅱの『学習確認のためのドリル』の改訂に着手した。年度内に終了し、会員企業に対しドリルの存在を周知し、教育研修に役立てる。
- 11月2日教育研修部会研修会を開催した。「日本における生薬生産と中国での生産」と題し、ツムラの笠原良二氏に講演をいただいた。
【講義要旨】
・国内の生薬使用量は、約2.6万トン(2014年:前年比94.1%)である。
・農業就業人口の減少と高齢化、円高による競争力低下、使用できる農薬の問題等があり、今後の課題としての取り組みが必要である。
・中国の視察状況として、麻黄の栽培地、甘草の自生地の紹介があった。 - 『漢方教本Ⅰ』活用の実際についてのアンケート、『漢方教本Ⅰ』の改訂およびその他の学習する教材について議論し、次年度の活動計画を検討した。
- 有用性研究部会
- PMDA(医薬品医療機器総合機構)の添付文書情報(2016年5月11日時点)を元に『医療用漢方製剤2016-148処方の添付文書情報-』(2014年版の改訂)の一覧作成。日漢協ホームページに公開した。
- 日本東洋医学会EBM委員会への協力として、『漢方治療エビデンスレポート』のAppendix2015を本年度中に公開予定。全面改訂となるEKAT2016については、対象22論文をピックアップした。また、『漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン2016』は、調査および重複精査を概ね終了。本年度中の公開に向け、まとめの作業を行っている。
委員会活動の在り方についての意見交換を行い、今後の運営が適切かつ効率的に活動できるよう、委員会メンバーが必要に応じて各部会活動に協力していくこととした。
生薬会議
生薬委員会 委員長 浅間 宏志(株式会社ウチダ和漢薬)
- 農林水産省の平成28年度薬用作物に関する産地確立支援事業への取り組み
- 原料生薬使用量等調査報告書(4)−平成25年度および26年度の使用量−
本事業における日漢協担当項目である「常設の事前相談窓口の設置」および「地域相談会の実施」について活動を開始した。
平成28年9月5日に開設されたホームページの「薬用作物の産地化を支援するための事前相談窓口」には、9月に1,000件を超えるアクセスがあり、また電話の相談受付では10月末までに計61件(栽培等14件、地域相談会43件、要望票4件)の問合わせがあり、薬用作物への高い関心が示された。地域相談会は、平成27年度まで3カ年続けたブロック会議の次ステップと位置づけており、10月4日の北海道を皮切りに12月9日の北陸まで、全国8地域で開催した(右表)。
地域相談会は2部構成で、第1部は全体的な説明と質疑応答を行った。農水省からは薬用作物をめぐる事情について、厚労省からは漢方薬の現状等について、医薬基盤研薬用植物資源研究センターからは薬用植物研究および種子・種苗についてご説明頂き、日漢協からは薬用作物の需給について説明を行った。また、休憩をはさんで行われた第2部は、個別相談会とし、事前に申込みのあった相談者からの質問に個別に応じた。
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![]() 第1部説明会の様子(北海道) |
![]() 第2部個別相談会の様子(北海道) |
第4回調査の結果を取りまとめ、冊子として発行するとともに日漢協ホームページに掲載した。
医薬品原料として使用される生薬の総使用量は、平成26年度で若干減少がみられたが(図1)、ヒアリングの結果、会員会社の計画生産(前倒し生産)に起因することが判明した。そこで、平成20年度は単年度調査であったが、2年間を調査対象とした平成21年度以降の使用量について2年毎の平均値をみてみると、この7年間では増加傾向にあることが読み取れる(図2)。本報告書については、皆様の研究や活動にご活用頂ければ幸いである。
![]() 図1.原料生薬の使用量と生産国 |
![]() 図2.総使用量の2年毎の平均値 |
一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 長島 義昌(クラシエ薬品株式会社)
- 一般用漢方製剤委員会
- くすり相談部会
- 事例報告 相談、苦情への回答・対応の検討
- トピックスG トピックスの収集と共有化
- 相談事例集Q&A作成 期日として年度内の完成を目指す
- 組織変更案について くすり相談部会の移管案について紹介
- その他 日薬連安全性委員会くすり相談部会(10/28開催)情報を共有
- 処方部会
- 適正使用推進部会
- 「使用者確認票」裏面英訳作成について ・ 担当委員会事前検討内容紹介、たたき台提示と文書フォーム検討
- その他連絡事項、トピックス等 連絡事項、トピックス紹介、共有化
- その他
平成28年10月6日開催
・各部会からの活動報告
・市民公開漢方セミナー(11月14日開催)について講演内容、パネル・製品箱陳列等につき検討
・組織変更について、くすり相談部会の移管案について当委員会として検討
・その他連絡事項
・当帰川芎製剤承認基準化に向けた国立衛研とのAMED共同研究について
*和田生薬製剤委員長より説明
*公開セミナーはテーマとして初めて一般用製剤を取り上げ、当委員会は講義を担当。また 生薬製剤委員会と連携し、会場入り口にて製品箱・葛根湯パネル・一般漢方処方の確認票の陳列展示を実施。担当者より、来場のお客様に説明・紹介を行った。
![]() 市民公開漢方セミナー(11/14)風景 |
![]() 市民公開漢方セミナー(11/14) 会場での展示風景 |
各部会員の意見、捉え方を共有
・ 追加処方使い分け資料内容の検討
・ 痛み領域に使用する31処方について使い分け作業結果の検討を実施。
・ 痛み系漢方使い分けシートを作成した。
・ 新領域の検討
・ 次回は、「口内炎」「目」「耳」などの領域を検討する。
・ 「咳」領域についても、今後検討の予定。
・ 対応処方と作成の割り振り(年度内に11処方作成)
♦ Web版「処方鑑別・使用者確認票(仮称)」作成状況
・ 国立衛研が処方鑑別シートと使用者確認票と合わせて使うWebコンテンツを現在作成中
・ 年度内のコンテンツ完成を目指し、近くベータ版が完了予定
・ ベータ版完了後、当委員会へも意見を伺いたい旨連絡をいただいている
・ Web版完成次第、日漢協HPへリンクを貼り、活用の予定
生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 和田 篤敬(小林製薬株式会社)

市民公開漢方セミナー(11/14)
会場での展示風景
生薬製剤の活性化を目標に、生薬製剤の範囲拡大と開発環境の整備について検討を進めており、『当帰川芎製剤(実母散等) 承認基準(案)』と、その提案資料を取りまとめている。また、本承認基準(案)の実現に向けては、国立衛研生薬部袴塚高志部長にご指導いただいており、産官学共同研究で取り組む必要性をご示唆いただいている。
本共同研究を平成29年度から開始できるよう、日漢協内で参加企業を募集し、一般用漢方製剤委員会へは説明とともに案内した(10/6)。その結果、6社から参加申込があり、袴塚先生に報告している。本共同研究が採択されれば、研究班と当委員会で、本承認基準の実現に向けて取り組みたいと考えている。
ここで、承認基準化を進めるにあたって、制度研究部会では「配合型 生薬製剤」の位置づけを明確にするべく、引き続き議論している。製剤開発部会では、本承認基準(案)に基づいて開発された製剤の品質評価を進めるため、各生薬の基礎情報の再整備と提案資料のアップデートを検討している。
また、当帰川芎製剤(いわゆる婦人薬)に関連したレポートの作成を千葉大学 医学部 附属病院 和漢診療科長・診療教授 並木 隆雄 先生にお願いしている。
第19回 市民公開漢方セミナー/日本橋公会堂(11/14)において、広報委員会、一般用漢方製剤委員会と協力し、当委員会も含めた16社の80製品を展示し、一般の来場者に興味を持って見ていただいた。
原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)
- 日局単味生薬エキスについて 日局キキョウ流エキスおよびカンゾウエキスの改正案について検討している。いずれも製法の項に工業的製法を追記することを主眼とし、確認試験(TLCを用いた方法に変更)、純度試験、アルコール数などその他の規格項目についても詳細な検討を行っている。さらに継続検討する予定である。
- 局外生規2018の準備 平成28年10月末に国立衛研生薬部袴塚高志部長から、局外生規2018への新規収載要望や既収載品目の改正要望に関する打診があった。委員会で検討したところ、生薬や植物エキスについては新規収載要望がなかったが、アカメガシワエキスなど局外生規2015で収載されたエキス3品目について一部改正要望があった。
- ISO関連 国際標準化機構(ISO)に対して、平成28年10月、イランから「薬用植物」(Medicinal Plants)に関する新しい技術委員会(TC)設置の提案があったことが、経済産業省から伝えられた。合わせて、この提案に対する日漢協の意見が求められた。国際対応WGで対応策が検討され、日漢協回答案の作成に協力した。
9月28日および10月26日に、本年度第3回および第4回原薬エキス委員会を開催した。委員会では、日局キキョウ流エキスおよびカンゾウエキスの改正案について詳細な検討を行った。
これらについて現在準備中である。
なお現在、国立衛研を中心に研究が進められている「単味生薬班」で、単味生薬エキスの規格および試験方法案が検討されているが、幾つかの品目で規格案等が固まればそれらが新規収載提案されるものと予想される。
なお、日漢協の回答は、理事会に諮った上で設置反対とし、その他幾つかコメントを付して、平成28年11月経産省に提出された。
コード審査会
代表委員 松塚 泰之(クラシエ薬品株式会社)
コード審査会では、平成27年同様に製品情報概要等の広告審査を行うこととした。平成28年度の製品情報概要等の審査資材を会員会社へ依頼し、10月27日に提供資材の集計と整理を行った。平成28年11月から平成29年1月の間に3回実施する製品情報概要実務部会の審査準備を行った。なお、審査結果は昨年同様に審査会レポートとしてまとめ、会員会社へ配布し、平成29年5月に厚労省へ報告する予定である。
保険薬価協議会
委員長 丸木 希望(株式会社ツムラ)
保険薬価協議会は、平成28年9月6日、10月11日(正副会議)、11月8日(正副会議)、12月13日に開催した。また、保険薬価部会は、9月27日、10月18日(協議会と合同会議)、11月17日(協議会と合同会議)、12月22日に開催した。
主たる議題は、「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」の研究会Ⅱ、研究会Ⅲの準備と運営に関する討議と情報共有である。また、中医協の審議状況や日薬連保険薬価研究委員会の活動状況について情報を共有した。
10月26日に開催された「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」の「研究会Ⅱ:高齢者医療」および11月21日に開催された「研究会Ⅲ:品質確保と安定供給」の運営は、広報委員会、総務委員会、安全性委員会、事務局等の協力を得て無事終了した。なお、「報道関係者向け概要説明会」は広報委員会に担当していただいた。委員の先生方からは、たいへん楽しく夢のある有意義な研究会であるとのご意見をいただいた。
9月16日に開かれた正副会長会、理事会において、8月3日開催の「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」の「世話人会」、「研究会Ⅰ」の開催結果と「研究会Ⅱ」以降の準備状況について報告した。
11月18日に開かれた正副会長会、理事会において、10月26日に開催された「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」の「研究会Ⅱ」の開催結果と「研究会Ⅲ」の準備状況について報告した。
総務委員会
委員長 菅沢 邦彦(株式会社ツムラ)
- 平成28年度「事業報告」・「予算見込」の取りまとめと平成29年度「事業方針」・「事業計画」・「予算計画」の検討と取りまとめを行った。
- 『中長期事業計画2012(5ヵ年計画)』の総括(成果と課題)の取りまとめと『中長期事業計画2017(5ヵ年計画)』の到達目標の取りまとめを行った。
- 諸規程等については、①「特定個人情報取扱規程」②「個人情報取扱規程」③「講師等の旅費交通費に係る内規」④「特定個人情報保護に関する基本方針」を新たに策定し、理事会もしくは正副会長会において承認された。
また、個人番号(マイナンバー)の取扱いについては、第三者機関への委託等、厳重な管理について取りまとめた「個人番号(マイナンバー)の取扱い」要領を策定し、正副会長会において承認された。 - 講演会の開催については、平成29年に開催する講演会の取り組み(案)を正副会長会においておおむね承認された。
国際委員会
委員長 塩本 秀己(大正製薬株式会社)
国際標準化機構(ISO)に中国伝統医薬の国際標準化を議論する専門委員会(ISO/TC249)の生薬に関わるワーキンググループ(WG1) の会議が中国・上海で11月21日に開催された。会議は、中国、韓国、ドイツなどから参加し、生薬原料に係る新たな標準化案を検討段階に進めるか議論が行われた。日本東洋医学サミット会議の先生方と協力し、日本薬局方などの国内法に影響が生じないよう、検討に加わっている。
技術委員会
委員長 松本 和弘(株式会社ツムラ)
漢方処方エキスの日局収載については、日局18の収載候補18品目のうち優先検討品目として、温清飲、呉茱萸湯、辛夷清肺湯、白虎加人参湯および麻黄附子細辛湯5処方のエキスが現在検討されている。
日局17で一部各条に規格設定された重金属個別分析に関する論文2報が「原子吸光光度法によるオウレン(末)、黄連解毒湯エキス及び柴胡桂枝湯エキスの鉛分析と小青竜湯エキスのカドミウム分析」および「漢方処方エキス中のヒ素、カドミウム、鉛及び水銀の実態調査」と題して『生薬学雑誌』(第70巻第2号、2016年)に掲載された。併せて、原子吸光光度法と誘導結合プラズマ発光分光分析法による鉛とカドミウムの分析データが、インフォメーションとして同雑誌に情報提供された。
また、2012年度を対象期間として、日漢協会員会社に対して実施した残留農薬自主基準に関する第4回実態調査の結果が「漢方製剤、生薬製剤及び生薬の残留農薬について(第4報)日漢協の残留農薬自主基準に関する実態調査」と題して、同雑誌に同時掲載された。
「医薬品品質システム」および「品質リスクマネジメント」に関する厚生労働科学研究に参画しているが、その成果の一端として漢方・生薬製剤に特有な品質リスクアセスメントの事例が第36回医薬品GQP・GMP研究会において報告された。また、厚生労働科学研究「GMP省令改正」では、現在ICH Q10の取り込みについて検討が行われている。
薬制委員会
委員長 栗田 宏一(クラシエ薬品株式会社)
- 医薬品の製造販売承認書と製造実態の整合性に係る点検後の対応について 日薬連から、「医薬品の製造販売業における管理の確実な実施について(依頼)」(平成28年9月7日付け日薬連発第640号加盟団体宛て、日薬連発第641号加盟団体会員企業代表者宛て)が発出され、医薬品の品質管理および製造販売後の安全管理業務の確実に実施されるよう、製造販売業の関係法令、責任体制、社内体制の確認を依頼された。
- 一般用漢方製剤等の地方委任に関する検討 一般用漢方製剤(日局収載28処方)は平成28年度中、生薬単味製剤は平成29年度中に、承認権限が都道府県に権限委譲される予定である。
また日薬連・薬制、品質および安全性3委員会より「製造販売業管理に関する実態調査について(依頼)」(平成28年9月8日付け日薬連発第645号)が発出され、製造販売業に係る三役体制を中心としたガバナンスの実態を把握するとともに、その結果に基づき必要に応じた改善策を検討するために、アンケートが実施された。調査結果は、「製造販売業管理に関する実態調査の結果について」(平成28年11月8日付け日薬連発第779号)で報告された。
安全性委員会
委員長 塚本 理史(株式会社ツムラ)
- 医療用医薬品添付文書新記載要領について 医療用医薬品添付文書新記載要領は平成28年度末には通知されると思われるが、それに合わせて安全性委員会では主な処方の新記載要領(案)を作成し、検討を行うこととした。また、添付文書届出制に伴い、XML作成方法や届出制の仕組み等の情報共有を図るため、平成29年1月の委員会で業者による勉強会を計画している。
- 医療用漢方製剤の英語版くすりのしおり作成について くすりの適正使用協議会(RAD-AR)と相談して医療用漢方製剤の英語版くすりのしおりを作成し、随時、RAD-ARのホームページへ掲載する手続きを行っている。また、会員企業が内容を共有できるように「使用上の注意」のみでなく、全ての項目で利用可能とした。
広報委員会
委員長 鈴木 登(株式会社ツムラ)
- 一般市民への啓発活動(平成29年5月~8月)
- 1)一般用ホームページへの問い合わせ件数 21件
- 2)一般用ホームページ新規掲載事項 13件(トピックス7件)
- 3)電話対応 7件
- 4)漢方啓発セミナー
- ①第68回東洋医学会学術総会における市民公開講座
9月16日 第199回理事会において「市民公開講座開催の協力依頼」の審議承認を得る - ②第19回日漢協市民公開漢方セミナー
日時 11月14日18:30~20:00
場所 日本橋公会堂
演題 「漢方は素晴らしい! 漢方薬の特長」
講師 長島 義昌 委員長(日本漢方生薬製剤協会一般用漢方製剤委員会)
参加156名(うち報道関係8名) - マスコミへの対応
- 1)9月から12月にかけて46件対応した。
(うち、30件「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」への参加依頼) - 2)日本農業新聞、NHK(大分)、朝日新聞(秋田)、雑誌「農業経営者」
薬用作物国内栽培推進関連の取材対応 - 3)読売新聞(医療部)漢方治療シリーズ特集に関する取材対応
- 4)ラジオ日本の医療・介護関係番組に加藤会長出演に関連する対応
- 5)「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」
10月26日「研究会Ⅱ」概要説明会 出席記者 14社(15名) 3社掲載
11月21日「研究会Ⅲ」概要説明会 出席記者 17社(17名) 1社掲載 - 6)「薬用作物の産地化に向けた地域相談会」(関東地域:さいたま市会場)
終了後記者会見 出席記者 3社(3名) 2社掲載 - 制作物
- 1)ニューズレターNo.98を発刊
- 2)日漢協ガイド2016制作
- 3)English Guide 2016制作
- ホームページ企画部会活動
- 1)日漢協HPにトピックス7(公式HP7件)記事掲載
- 2)日漢協HPリニューアル検討
- その他
- 日漢協関連記事・番組およびHP更新などについて、事務局を通じて会員会社の窓口担当者に40件の情報提供を実施した。
表紙の応募作品 今回惜しくも選に漏れた作品をご紹介します。
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【麗峰】 |
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【ディレクター G.T. ムーア】 |
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【冬瓜(とうがん)】 |
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【結集】 |
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【葛花】 |
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【カネノナルキ】 |
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【サネカズラ】 |
※皆さんフルってご応募ください!!
興和株式会社

弊社は、1894年に綿布問屋として創業した、百二十余年の歴史を持つ企業です。興和グループの中核企業として、繊維・機械・建材などの輸出入や三国間貿易を行う商社機能と、医薬品・医療機器・環境・省エネ関連製品などのメーカー機能をあわせ持ち、その事業フィールドは多岐にわたっています。医薬事業部は、柔軟な発想と高度な技術をもとに、OTC医薬品/ライフサポート品/サプリメント/飲料、医療機器および医療用医薬品の研究・開発・製造を行っています。高品質の製品を提供することで、皆さまの健康と豊かな生活に貢献しています。医療用医薬品・医療機器では、病院など医療機関向けの医療用医薬品から、眼底カメラを中心とした医療機器まで、幅広く提供しています。一般向けの健康関連商品では、「キャベジンコーワ」など薬局・薬店でおなじみのOTC医薬品から、「三次元マスク」などのライフサポート品、栄養を補うサプリメント、身体を癒す飲料など幅広く提供しています。興和グループは、かけがえのない地球に生きる企業として、地球環境のために何ができるかを常に考え、ISO14001に基づいた環境マネジメントシステム(EMS)を構築・運用するため、グループを挙げて環境保全活動に取り組んでいます。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 生薬化学研究室 波多野 力 教授
ポリフェノールを中心とした化学構造研究
60分授業・4学期制
明治3年(1870)に開校した岡山藩医学館を起源とする岡山大学の歴史は間もなく150年を迎えます。その後、医学館は岡山県医学校、第三高等学校医学部などと名称を変え、大正11年(1922)に岡山医科大学になりました。そして、昭和24年(1949)の学制改革により、同大学が中核となって、第六高等学校、岡山師範学校などを包括して岡山大学となり、現在に至っています。現在、岡山大学は文、教育、法、経済、理、医、歯、薬、工、環境理工、農の11学部とMP(Matching Program Cource)コースを擁し、平成26年(2014)には文部科学省の「スーパーグローバル大学」に選ばれています。先駆的な教育改革にも取り組み、昨年からは全学の学士課程教育では60分授業・4学期制を取り入れています。
キャンパスは医学部、歯学部がある鹿田キャンパスと薬学部などの9学部がある639,621m2に及ぶ全国屈指の広さを誇る津島キャンパスがあります。地方の国立大学では新幹線の駅に最も近いとされ、自然豊かな交通至便なキャンパスとして知られています。
第三高等中学校医学部薬学科が前身
薬学部の歴史も古く、明治23年(1890)に第三高等中学校医学部に附設された薬学科に遡ります。しかし4年後には勅令により廃止の憂き目にあっていますが、雌伏75年、昭和44年、医学部に薬学科が設置され、翌45年に薬化学、生理化学、生薬学講座が開講されました。医学部から分離して薬学部(薬学科、製薬化学科)が設置されたのは昭和51年でした。岡山駅から北に約2.5km、岡山市街地の津島キャンパスにある同学部は4年制の創薬科学科と6年制の薬学科から成っています。前者の研究分野としては有機医薬品開発学、生薬化学、合成薬品製造学、生体機能分析学、精密有機合成化学の6分野、後者は薬効解析学、生物薬剤学など14の分野で構成されています。
生化学面の充実を目標に発足

波多野力教授と谷口抄子准教授

薬草園

薬学研究棟
波多野教授は初代の奥田拓男教授、二代目の吉田隆志教授に継ぐ三代目です。静岡薬科大学、岡山大学の修士課程を経て昭和54年(1979)に助手となりました。以来、二人の教授の後継者として世界に先駆けて、薬用植物や食材など天然素材中のポリフェノールを中心とした化学構造研究を行っています。
これまで数多くの新規化合物の化学構造を解明し、抗酸化作用、発癌プロモーション抑制作用、抗HIV抑制作用、宿主介在性抗腫瘍効果など種々の機能面についても開拓しています。
現在、取組んでいる主な研究テーマは「植物界からの新規化合物の開拓」と、難治性感染症プロジェクトの一環として中国の内蒙古大学生命科学院と共同研究を推進している「東アジアの薬用資源開発」で、主としてメチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)対する作用物質の開発を目標として研究を進めており、その成果が期待されています。
私の健康法 女性医療ジャーナリスト NPO法人みんなの漢方理事長 増田美加さん
食事、運動、漢方薬…
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夜は1時までには寝るようにしています。3秒で眠り、不眠に悩んだことはありません。朝は6時50分に一緒に寝ている愛猫の肉球で起こされます。 |
●日本にただひとりの女性医療ジャーナリスト
出版社勤務を経てフリーの医療ジャーナリストとして独立して以来、日本でただひとりの女性医療専門のジャーナリストとして、患者視点から女性医療とヘルスケアに関わる内容を取材、執筆。その傍らで、多岐にわたった啓発活動を展開している。漢方専門医の渡邉賀子医師(麻布ミューズクリニック名誉院長)に監事を引き受けてもらい、ほかはすべて一般市民で漢方ユーザーである女性たちと2013年に「NPO法人みんなの漢方」を理事長となって設立。「NPO法人乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)」副理事長、「NPO法人女性医療ネットワーク」理事などを務め、〝健康の核は女性を信念に、女性医療に関する啓発活動を行う。上記のほか、乳がんに罹った経験から、NPO法人CNJ認定乳がん体験者コーディネーターの認定を取得。NPO法人女性医療ネットワーク内で「マンマチアー(Mamma Cheer)委員会~女性の乳房の健康を応援する会」を主宰。乳がん啓発活動に意欲的に取り組んでいる。
●11年前に乳がんに
乳がんの宣告を受けたのは2006年だった。それまで病気らしい病気をしたこともなく、特に体調不良もなかったことから、正に青天の霹靂であったと述懐する。仕事が忙しく、生活も不規則になりがちで、年齢的にも40代になったばかり。定期的な乳がん検診により超早期発見となり、事なきを得た。「手術で3×3cmを切って取っただけの治療で3泊4日の入院でした。超早期発見だったのが幸いしました」。主治医からは99%再発はしないとのお墨付きをもらった。「でも、がんという言葉の重みは強く、超早期であったにもかかわらず、当時は再発の恐怖からは逃れられませんでした…進行したがんを治療中の人を思うと…。早期発見の大切さを伝えたい」。この体験を『乳がんの早期発見と治療 これで安心』と題して小学館から出版。発見から病院探し、治療の選択、手術、治療終了までを具体的な行動や心の動きを交えて綴った同書は、乳がん患者に少なからぬ光明を与えている。●補中益気湯、茯苓飲合半夏厚朴湯などを愛用
日ごろから健康には留意し、食生活にも殊のほか気をつけている。がんを患ってからはさらに、家での食事では食品添加物などが含まれるものは用いない。野菜はできるだけ有機を選び、油選びには最も気を遣い、栄養バランスの良い食事を心がけている。「でもストイックになり過ぎるとストレスになりますので、外での食事はなんでも美味しく食べます。お酒を飲みながら皆と楽しく過ごすのが好き」食事の他に運動にも積極的に取り組み、有酸素運動、ストレッチ、筋トレ、ランニングを欠かさない。日々の健康管理の賜物か、51歳と52歳の時には2年連続でホノルルマラソンにチャレンジし、完走している。
30代の前半に漢方と出会って以来20年余、今や名実ともに漢方ファンで健康にも恵まれ、体調に合わせて主治医の処方による漢方薬を服用。更年期障害の対策のために「補中益気湯」と「茯苓飲合半夏厚朴湯」を毎日。また、風邪気味の時は「麻黄附子細辛湯」、緊張が高いテレビ出演前には「抑肝散加陳皮半夏」を飲み、プレッシャーを抑えている。「日々の生活の養生など健康意識を高め、病気を予防するためにも漢方の考え方はとても役立ちます。がんの副作用対策、高齢者医療としての漢方薬の役割も今後さらに重要になります。これからも漢方医療の正しい知識を広めていきたいと思います」
プロフィール
1962年、東京都生まれ。女性誌『婦人画報』『GINGER』での連載のほか、数々のWEBサイトでも連載中。著書に『医者に手抜きされて死なないための患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。