124号 (第42巻 第1号)2025年5月
東洋医学のエビデンス~漢方・鍼灸の実力と未来~
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昭和医科大学 学長 久光 正 |
2025年6月6日(金)~8日(日)、東京・新宿の京王プラザホテルにて、第75回日本東洋医学会学術総会を開催いたします。会頭を務めます久光です。今回のテーマは、「東洋医学のエビデンス ~漢方・鍼灸の実力と未来~」としました。
東洋医学は長い歴史の中で人々の健康を支えてきましたが、近年では科学的検証が進み、エビデンスに基づく医療としての確立が求められています。特に、漢方薬や鍼灸の臨床応用に関しては、質の高い研究が不可欠であり、本総会では最新の研究成果を共有し、議論を深める場を提供します。
また、若手研究者や臨床家の育成にも力を入れています。発表の機会を充実させるとともに、学生や研修医が東洋医学に触れ、学びを深めるセッションを多数用意しました。次世代の育成は、東洋医学のさらなる発展に不可欠であり、本総会が若手の研究や臨床の成長を後押しする場となることを期待しています。
今回の総会では、「鍼灸」もテーマに含めました。これは、鍼灸の重要性が高まっていることを反映したものです。近年、慢性疼痛、自律神経疾患、運動器疾患、精神疾患などに対する鍼灸の有効性が注目され、エビデンスの蓄積が進んでいます。本総会では、鍼灸に関する研究報告、最新の臨床応用、伝統技術と現代医学の融合を議論するシンポジウムを開催し、今後の展望を探ります。
地域医療における東洋医学の役割についても議論を深めます。関東甲信越支部の10都県部会が、それぞれの特色を活かしたシンポジウムを企画し、各地域における伝統医療の実践やエビデンス構築の取り組みを発表します。
また、実践的な学びの場も充実させました。例えば、煎じ薬の調製、鍼灸治療の体験、臨床研究のワークショップなどを通じて、理論だけでなく実践的に学べる機会を提供します。さらに、東洋医学の国際的な発信を強化するため、英語セッションや日韓シンポジウムを開催します。東洋医学は、日本のみならずアジアや世界各国で関心が高まっており、国際的な視野での発展が求められています。英語セッションでは、最新の研究成果を英語で発表し、日韓シンポジウムでは、日本と韓国の東洋医学の実践や研究の違い、共通点について活発な議論を行います。これにより、日本の東洋医学を世界に発信し、国際的な連携を促進する機会となるでしょう。
本総会を通じて、東洋医学の未来を見据えた活発な議論が行われ、次世代の研究者や医療従事者にとって実り多い場となることを願っています。皆様にとって刺激的で有益な学びの場となるよう、全力で準備を進めております。東洋医学の発展に貢献し、次世代の研究者・臨床家の育成にもつながる本総会に、ぜひご参加ください。多くの皆様とお会いできることを心より楽しみにしております。
「課題を乗り越えて―次のステップへの挑戦」
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日本漢方生薬製剤協会 副会長 栃本 大輔 (株式会社栃本天海堂 代表取締役社長) |
今年も各地で自然災害が発生しました。特に福島県会津を震源とする地震や岩手県大船渡市の林野火災による被害は、私たちに深い哀しみと痛みをもたらしました。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。
さて、本年度は「漢方の将来ビジョン2040」の実行計画である「第1 期5 ヵ年アクションプラン」の最終年度にあたります。中間報告で明らかになった課題の解決に向け、計画の完遂を目指す重要な1 年であると同時に、次なる「第2期5ヵ年アクションプラン」の策定準備を進める重要な年となります。
コンプライアンス体制の充実・強化においては、昨年度実施したコンプライアンスの取り組み状況に関するアンケート調査により、意識調査の実施や監査の実施、人事考課等への反映等が不足していることが明らかになりました。この結果を受け、問題点の改善に向けた研修会を開催し、会員各社の意識向上と改善を図ってまいります。
原料生薬の安定確保と漢方製剤等の安定供給に関しては、昨年度はコロナ禍で途絶えていた訪中団が6 年ぶりに再開され、日中交流を実現することができました。本年度は、訪日団を迎え、中国医保商会との交流を継続し、良好な関係の維持と品質の高い原料生薬の安定確保を目指します。また、現在国会で審議されている改正薬機法では、医療用医薬品の安定的な供給確保に向けた体制整備が求められています。原料生薬やエネルギーコストの高騰に伴い、漢方製剤等の安定供給に影響が生じる可能性がある現状を踏まえ、会員各社は生産設備や生薬倉庫への設備投資に尽力し、安定供給の実現に取り組んでいます。
漢方製剤や生薬製剤の安定供給には、生薬の生産量や輸入量、流通量などの統計データが欠かせません。日漢協は2010 年より医薬品またはその原料に限定した調査を開始し、結果を原料生薬使用量等調査報告として公開しています。今回、生薬学雑誌Vol.79(1)2025 に掲載された論文は、第1回調査から15年間の使用量の推移について俯瞰した資料となっています。本調査は原料生薬の安定確保を推進するために不可欠な基本情報ですので、今後も調査を継続する予定です。
国内における生薬生産の推進・拡大に向けた取り組みとしては、昨年11月に薬用作物産地支援協議会主催で「薬用作物(生薬)産地化推進のための行政担当者情報交換会」が開催されました。各先生方による薬用作物栽培の現状や取り組みに関する説明に加え、活発な意見交換が行われました。栽培には多くの課題があるものの、栽培技術の向上により持続可能な産業への発展も可能ではないかとの意見もあり、これからの取り組みに期待が高まっています。今後も農林水産省や厚生労働省のご支援をいただきながら、国内生産の推進・拡大に取り組んでまいります。
医療用漢方製剤等の薬価については、2024年度薬価改定において、保険医療上重要な品目の安定供給を確保するため、特例措置として不採算品再算定が実施されました。一方で、令和7年度の予算審議では、社会保険料削減を目的にOTC類似薬を公的医療保険の対象から外す案が提案されるなど、議論が続いています。医療用漢方製剤は医師の診断に基づき、患者様の症状や体質に合わせて処方されるものであり、OTC漢方製剤とは用量や適応疾患、投与期間などに違いがあるため、同一視することはできません。漢方製剤等がOTC類似薬の保険適用除外の対象とならないよう、保険医療上の必要性や医療用漢方製剤の役割について、適切に情報を提供してまいります。
関係各位の皆様には、当協会の活動へのご理解とともに、引き続き温かいご支援、ご指導を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
医療用漢方製剤会議
医療用漢方製剤委員会 委員長 坂上 誠(株式会社ツムラ)
- 医療用漢方製剤委員会
- 流通適正化部会
- 教育研修部会
- 有用性研究部会
4月3日、委員会を開催した。
1)審議事項:
①長谷川久委員長の退任に伴い、新委員長の選任について審議し、坂上誠氏(ツムラ)が選任された。
2)報告事項:
①2024年度事業報告、2025年度予算計画について報告した。
②部会長、委員会メンバーの交代について
流通適正化部会長は松塚泰之氏の後任に葛野孝弘氏(クラシエ)、教育研修部会は宮内清志氏の後任に中村秀大氏(ツムラ)、有用性研究部会長は末田竜一氏の後任に江澤美智氏(ツムラ)が就任した。
③日漢協第248回・第249回・第250回理事会 審議・報告について説明した。
④部会(流通適正化、教育研修、有用性研究)および関係委員会等(コード、保険薬価、提言実現)の活動について、部会長・委員長より報告いただき情報共有した。
⑤透明性ガイドラインは、準備が整った企業(6社)より4月から順次ホームページへ掲載することとした。
2月10日に部会を開催、後述の内容にて議論を進めた。
①部会長の交代:
2月10日付にて、松塚部会長より葛野孝弘氏(クラシエ株式会社)へ交代の推薦があり、承認された。
②透明性ガイドライン公開情報の日漢協ホームページ掲載についての確認:
ツムラ、クラシエの2社が先行して日漢協ホームページへリンクを掲載、今後は準備が出来た企業から順次掲載することとした。3月を目途に個社の回答を確認し、公開に向け進める。
③業界情報の共有:
公取協違反事案についての情報の共有、日薬連流通問題研究会情報の共有を行った。
④25年度事業計画、卸連訪問等:
医療用漢方製剤等の適性流通について議論を行い、昨年同様に、本年も卸連への訪問を実施、継続した取り組みが必要と各社意見が一致した。産情課事務連絡およびQ&A発出後の3月18日に卸連へ訪問し、日頃の御礼および最低薬価品、過去不採算品再算定品目の適正な流通について依頼をした。
教育研修部会の研修会開催(3月18日)
1)医療用漢方製剤委員会 教育部会 研修会 開催報告
➢演題:「 国内外における生薬生産拡大に関する課題取り組み」
・ 漢方事業継続の為の課題とこれまでの取り組み
・ 政府における漢方の捉え方の変遷
・ 生薬生産を通じた障がい者への就労支援への取り組み、地方創生について
・ 漢方薬の価値向上を促すブランディング
・ 安定と発展について目指す姿業界への提言等
➢講師:原 裕司氏(元、初代日漢協国内生産検討班長、現在 ㈱ツムラ医薬営業本部流通企画部流通管理課日漢協関連役職)
➢参加者:計54名(12社)
➢当日アンケート結果内容要旨(回答 55名)
①今回の研修は御社の今後の業務に参考になりそうでしょうか?
回答者32名:はい(23名、71.8%)、いいえ(0名)、どちらとも言えない(9 名、28.1%)
②具体的にはどのような業務の参考になりそうでしょうか?
抜粋
・ 漢方業界のために、行政を動かせる行動力に感動しました:研究系
・ 弊社でも国産生薬の生産を数年前から検討しチャレンジできないか考えているところであったので今までに取り組まれた歴史を知ることができ、勉強になりました:貿易系
・ 薬用植物の国内栽培における歴史と現在までの経緯が非常にわかりやすく理解でしました。ご講演ありがとうございました:貿易営業系
・ 生薬生産は、今後の漢方業界で非常に重要な要素となり、その歴や今後について学べたため:営業企画管理系
・ 様々な活動に取り組む中、国産生薬自給率のアップには、まだまだ多くの課題があることを学びました。課題解決に向けて、各企業が考え、業界として取り組む必要性を感じました:研究開発系
・ 原料生薬についての協会での取り組みを紹介できるから:営業系
・ 新規の商品開発において原料の安定供給は重要な視点のため,いろいろと参考になるお話を伺うことができました。また商品イメージとしても,国産原料というのはニーズが高く,常に状況を理解しておきたいと考えております:研究開発系
1)日本東洋医学会EBM 委員会協力作業
①漢方治療エビデンスレポート(EKAT)2022 Appendix 2024 update は1月8日に公開、EKAT 2019英語版は3月11日に公開済みである。
②漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン(KCPG) については、Appendix2024 update は1月31日に公開。来年度より、公開頻度を年1回から年2回へ変更することに伴い、名称から年号および付属名称(Appendix)を削除し、KCPG に統一することとなった。
③EKATについても、KCPGと同様に更新頻度を向上させ、情報の滞りをなくすことで合意に至った。ウェブサイトの更新についても、管理業者ではなく委員会内で随時実施することが提案された。迅速な更新が可能となり、筆者にとっても有益であると考えられるが、質の担保が重要な課題となる。さらに、レイアウト変更も検討課題として挙げられた。
④STORK関連については、本年5月末に翻訳会社へ英訳を依頼する予定であり、新たに3社が参入を予定している。本年12月の公開を目標とし、東洋医学特有の効能効果などの英訳については、今後更新される用語集を参考にして進めることとする。
2)その他
EBM委員会活動の周知策として、田原英一先生と元雄良治先生の懇談において、メルマガやSNSを用いた情報発信が提案された。
具体的な実施案については、6月の次回委員会にて討議する予定である。
生薬会議
生薬委員会 委員長 山本 豊(株式会社栃本天海堂)

生薬学雑誌79(1),61(2025)
図1 原料生薬の使用量と生産国(2008~2022年度)

生薬学雑誌79(1),62(2025)
図2 2021年度の使用生薬293品目の生産国
第8回原料生薬使用量等調査の結果について
2021年度(2021年4月~2022年3月)及び2022年度(2022年4月~2023年3月)の調査結果に既報の2008年度からの13年間を加えた15年間の使用量等の推移について俯瞰した資料が『生薬学雑誌』に掲載された【79⑴ , 18-62(2025)】。また、広報委員会と連携し、日漢協ホームページでこれを公表(3月24日)した。
総使用量の推移はニューズレター121号に記した通りであるが、2021年度は29,392t、2022年度は33,830tでそれぞれ調査対象期間(2008~2022年度の15年間)の最高使用量を更新し、2022 年度は、調査開始時(2008年度:20,763t)の約1.6倍になっている(図1)。
ニューズレター122号では今回の調査対象期間で直近の2022年度の使用生薬284品目についてその生産国を記した。今回は、使用された生薬の数が最も多かった2021年度についてその生産国を記した(図2)。2021年度に使用された生薬の数は293品目であり、そのうち使用量にかかわらず少なくとも日本産が使用された生薬は、91品目(31.1%)で使用量としては1割程度であるが、品目数としては全使用生薬のほぼ3割にあたる。なお、15年間(2008~2022年度)の日本産が使用された品目数については、最高が96品目、最低が84品目であった。一方、中国産についてみてみると、中国産のみが使用された生薬は152品目(51.9%)、使用量に関わらず中国産が使用された生薬を加えると235品目(80.2%)であり、使用量とともに約8割であった。
本報告を皆様の研究や活動にご活用いただければ幸いである。
一般用漢方製剤会議
一般用漢方製剤委員会 委員長 高橋 隆二(クラシエ薬品株式会社)
- 一般用漢方製剤委員会
- 処方部会
- 適正使用推進部会
2月9日に幹事会を、2月27日に2024年度第3回委員会を開催し、理事会報告、各部会活動報告、各種プロジェクト報告等の情報共有を行った。
3月14日にTIME SHARING 銀座三丁目ビルディングにおいて、委員会主催の広告研修会を開催した。今回も会場のみの開催で会員会社から54名の参加があり、日本OTC医薬品協会広告委員会の栄角尚郎委員長を講師としてお招きし、一般用医薬品の広告規制と一般薬連広告審査会で議論となった表現事例を紹介頂いた。
1月21日に部会を開催し、一般用漢方製剤承認基準への追加候補39処方に関し、委員会内で実施したアンケート結果をもとに、新たに追加希望のあった4処方および削除候補16処方につき部会員にて情報収集を継続実施した。
1月15日および3月5日に部会を開催した。広告研修会の開催に向け、関係各所との調整を行った。今後、委員会で保有している漢方処方パネルの追加について、候補処方の検討を行うこととした。また、部会にて第301回、第302回広告審査会ヒアリング結果の共有と意見交換を行った。
生薬製剤会議
生薬製剤委員会 委員長 和田 篤敬(小林製薬株式会社)
幹事会を2月4日に、委員会及び制度研究部会と製剤開発部会の合同部会を3月25日に開催、2024年度の事業報告案、2025年度の事業方針・事業計画案について調整した。また当会議・当委員会の運営や活動にできるだけ支障がないよう、常務理事とも相談しながら適宜対応することとしている。
国立衛研 生薬部における第2回ガイドライン班会議が3月13日に開催され、当帰川芎製剤(いわゆる婦人薬)の効能効果の見直しに関する検討状況について共有した。国立衛研 生薬部長の伊藤先生と厚労省 審査管理課との意見交換から、複数の産婦人科医の意見が求められたため、日漢協 事務局と当委員会で調整し、4名の専門医からご意見をいただき、取りまとめて伊藤先生に報告している。次の検討テーマとして生薬主薬保健薬(ニンジン主薬製剤)の範囲拡大の可能性について検討しており、医学・薬学の先生方からいただいたご知見を踏まえて、範囲拡大の方向性を定め、制度研究部会と製剤開発部会で分担して臨床エビデンスの調査を進めている。

セルフメディケーション税制について、2022年1月から5年間延長され、対象品目はスイッチ成分配合品から、マオウ、ジリュウ、ナンテンジツを配合した漢方生薬製剤を含めた一部の非スイッチ成分配合品に拡大している。2022年の届出が落ち着いた6 月から2025年1月までの非スイッチ品における生薬(マオウ、ジリュウ、ナンテンジツ)配合品目数は下表のように推移しており、税制対象品目全体の約20%を占めている。
厚労省の「令和5年(2023年)薬事工業生産動態統計調査(3月28日更新)」による税制対象品の割合は、以下のように半分に満たない。
厚労省の第2回 セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会が3月24日に開催され、一般薬連から生活者意識調査結果を踏まえて、税制の改正点として3点、対象を全てのOTC 医薬品に拡大、控除上限額の引き上げ、税制の恒久化が要望された。夏頃には今後の税制のあり方等が取りまとめられる予定。
3月14日に開催された一般用漢方製剤委員会による広告研修会「最近の一般用医薬品の広告規制と違反事例について/OTC 薬協 広告委員会 栄角 尚郎 委員長」に、当委員会も会員会社の広告関連担当者の参加を募って聴講した。
原薬エキス会議
原薬エキス委員会 委員長 佐々木 博(日本粉末薬品株式会社)
2025年4月23日に、2025年度原薬エキス会議および本年度第1回原薬エキス委員会を開催した。会議では本年度原薬エキス会議の事業計画、昨年度の委員会活動報告等について審議した。委員会では3月理事会の内容を共有化し、日局や局外生規の進捗状況、またロートエキスのデータ取りや局外生規センナエキスの重金属試験等について確認した。
- 漢方処方エキスの日局収載
- 局外生規2026
- その他
生薬等(A)委員会と漢方処方エキス班(座長:国衛研生薬部増本第二室長)では、19局第一追補(2027年10月告示予定)収載を目標に、優先的に人参養栄湯エキスの収載案が検討されている。
また漢方処方エキス班では、既収載漢方処方エキス40処方の主として確認試験と定量法の改正要望について検討が進められている。
上記とは別に、ロートエキスなど日局生薬エキス4品目の製法、特に原料生薬の切度について当委員会委員から改正要望があり、現在ロートエキスについてデータ取りを進めている。
4月24日に局外生規2026第12回作成WG(事務局:国衛研生薬部)が開催され、タンズシの各規格項目などについて検討が行われた。
新収載センナエキスの重金属試験については、当委員会で引き続きICP法などを用いて検討中である。
技術委員会から「PMDA、国衛研と日漢協の意見交換会」に原薬エキス委員会からも参加して欲しいとの依頼があり、委員会でメール審議した結果、委員2名を派遣することとした。5月末に予定されている第2回から参加する。
国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョンプロジェクト
プロジェクトリーダー 味岡 賢士(株式会社ツムラ)
提言実現プロジェクト会議は1月24日、2月28日にWeb会議を開催した。
2月17日(月)「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会2024」が開催され、「日本の社会課題と漢方薬の必要性~高齢化(フレイル)少子化(プレコンセプション)~」をテーマに、フレイル、プレコンセプション領域で、それぞれ2名の先生にご講演いただいた。
ディスカッションでは、OTC類似薬の保険給付見直しに対する反対のご発言を多くの委員から頂くと共に、フレイルや女性領域に対する漢方薬の期待や、リポジショニング、国内の生薬栽培での課題等、多岐にわたる意見をいただいた。
また2021年に提言が更新された以降の新たな社会課題、漢方薬の必要性を鑑み、提言の更新の提案がされ、了承された。
参加者は会場参加74名、Web参加148名、合計222名に参加いただいた。
総務委員会
委員長 永野 聡(株式会社ツムラ)
- 事業計画に関する事項
- 協会活動の効率的運営に関する事項
- コンプライアンスに関する事項
- 環境活動に関する事項
- 漢方製剤等の生産動態に関する事項
(1)「2025年度事業計画の策定にあたって(案)」が第94回正副会長会で承認された。
(2)日漢協「2025年度事業方針(案)および事業計画(案)」が第95回正副会長会、第250回理事会で承認された。
(3)各組織から提出された2024年度事業報告(案)を取り纏めた。
(1)ビジョン実現検討班の運営
検討班を開催し、「漢方将来ビジョン2040」第1期5ヵ年アクションプラン最終報告の取りまとめ、第2期5ヵ年アクションプランの策定、ロードマップの見直しに向けて事務局の運営案を説明し、意見交換を行った。
(2)第172回委員長会において業務分掌の確認をお願いし、見直しの必要がないことを確認した。
コンプライアンスの取り組み実態調査結果の考察を目途に、延期していたコンプライアンス研修会について、2025年7月14日の開催に向けて準備を進めている。
2025年1月に実施した「環境の取り組みに関する実態調査」を取りまとめた内容を会員会社に共有した。
2023年薬事工業生産動態統計年報から「漢方製剤等の生産金額」を確認し、第250回理事会で報告した。
広報委員会
委員長 北村 誠(株式会社ツムラ)
- 2025年度市民公開漢方セミナー
- 2025年市民公開講座(日本東洋医学会共催)
- 記事化
- プレスリリース
広報委員会における検討の結果、以下の概要にて準備中。
(1)日程:11月下旬~12月中旬
(2)会場:文京シビックホール(文京区)
(3)講師:正木稔子先生(ラファ・クリニック院長・漢方内科、調布市)
(4)テーマ:漢方の考え方、風邪・インフルエンザの漢方、養生 など
開催概要は、以下の通り。現在、会員会社等を通じ幅広く告知活動を実施。
(1)日程:6月8日(日)13:30~15:30
(2)会場:京王プラザホテル(新宿区)
(3)講師:今津 嘉宏 先生(芝大門 いまづクリニック)
安野 富美子 先生(東京有明医療大学 保健医療学部鍼灸学科)
(4)演題:「東洋医学を”科学”する」~正しく学ぼう! 漢方薬・鍼灸の活用法~
(1)1月17日開催 新年祝賀会
1)1月17日付 日刊薬業
2)1月21日付 化学工業日報
3)1月22日付 薬事日報
4)2月14日付 薬事ニュース
(2)2月17日開催 国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会2024
1)2月17日付 日刊薬業
2)3月14日付 薬事ニュース
(3)3月10日付 日刊薬業「生薬の国産量、順調に拡大」
(4)4月23日開催 シンポジウム「保険診療における漢方薬の役割」
1)4月23日付 日刊薬業
2)4月24日付 ミクス
3)4月30日付 薬事日報
(1)2月17日開催 国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会2024
(2)4月23日開催 シンポジウム「保険診療における漢方薬の役割」
(3)5月20日開催 日漢協定期総会
国際委員会
委員長 小柳 裕和(株式会社ツムラ)
ISO/TC249関連活動
国内委員会への参加
2025年2月16日 第9回委員会1開催
WG1投票案件 17件審議 WG2投票案 2件審議
日漢協から4名(浅間、山路、高杉、小柳)のエキスパートが出席
ISO/TC249の各案件の進捗
2024年11月現在の、各開発段階における案件数は、以下に示すとおりです。WG1で43件、WG2では21件が国際規格として発行されており、全て購入済です。
個別に国際規格をご覧になりたい方は、クロジカにアクセスいただき、
フォルダー > 08 資料室 > ISO 規格書 > ★購入ISO一覧表20241210.xlsx のファイルを参照して必要な国際規格をご覧いただきたい。
薬制委員会
委員長 中堀 秀俊(クラシエ薬品株式会社)
2025年1月30日に幹事会、2月17日に委員会及び幹事会、3月10日に委員会を開催し、次期薬機法改正、発出通知、薬事規制、品質問題等への対応について議論した。
- 委員長の交代
- 次期薬機法改正への対応
- 行政との意見交換
3月1日付けで委員長を栗田宏一氏(クラシエ薬品㈱)から中堀秀俊氏(クラシエ薬品㈱)に交代した(2月17日委員会にて承認)。
1月10日に公表された厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会のとりまとめ、2月12日に閣議決定された薬機法改正案の内容を確認し、意見交換した。
2月20日にPMDAと一般用5団体の審査実務意見交換会が開催された。日漢協からは一般用漢方製剤委員会、生薬製剤委員会、薬制委員会から3名が参加して、漢方生薬製剤の原薬エキスや製剤の規格、承認書の記載について意見交換した。
2月14日にPMDA、MHLW 審査管理課、国立衛研と漢方生薬製剤の課題に関する意見交換を行った。日漢協からは技術委員会、安全性委員会、一般用漢方製剤委員会、生薬製剤委員会、薬制委員会から8名が参加して、規格設定に係る薬事規制の課題を中心に意見交換した。
技術委員会
委員長 高杉 泰弘(株式会社ツムラ)
2025年2月27日に2024年度第6回、2025年4月23日に2025年度第1回の委員会を開催した。局方や局外生規関連をはじめとする各部会の活動状況や日薬連品質常任委員会を通しての規制当局の動きや再構成されたAMED研究班活動の共有化、委員より寄せられた提言事項に対する議論を行った。
漢方生薬製剤の課題に関する意見交換を行政側と開始した。
- 日局関連
- 不純物関連
- GMP関連
- 薬機法関連
- 日漢協ホームページ生薬の解説
日局19第一追補の収載に向け、人参養栄湯エキスの試験法について継続して検討している。
リュウコツ配合漢方処方の代替処方について各社のデータをまとめ、国衛研の指示をいただき進めている。
残留農薬に関するアンケート(2022年度)をまとめ、日漢協発150号にて回答を発出した。
GMP調査の実施状況について、国際整合性および透明性を確保するため実施状況の公表が試行的に行われる。
薬機法等の一部を改正する法律案として、医薬品製造管理者の例外規定、医薬品品質保証責任者および医薬品安全管理責任者の登録設置、供給体制管理責任者の設置がされる。
計画的に解説の改訂作業を進めている。
安全性委員会
委員長 香取 征典(株式会社ツムラ)
●医療用医薬品添付文書新記載要領対応
医療用医薬品の添付文書新記載要領対応が完了し、2024年度からは「注意事項等情報」の内容について、医療用漢方製剤を対象とした業界統一冊子の20年ぶりとなる改訂作業を進めている。安全性委員会参加会社の医療用漢方製剤の製造販売業者を中心としたメンバーでWG会合を10月から2月にかけて4回開催し、具体的な内容について検討を重ね、作業を進めているところである。新記載要領対応版として改訂内容履歴の整理・関連通知のデータ収集を並行して実施し、課題点の整理や処方ごとの変更骨子を検討し、これまでの注意喚起改訂根拠も含めながら、より分かりやすい掲載内容を心がけ、2025年度の早い段階での完成を目指している。
コード委員会
委員長 葛野 孝弘(クラシエ薬品株式会社)
3月27日に委員会を開催し、委員長を松塚泰之氏(クラシエ)から葛野孝弘氏(クラシエ)へ交代することが承認された。以下の議題を報告し、共有・意見交換した。
①一般薬連広告審査会の内容共有を森田副委員長が行なった。
②一般用漢方製剤委員会主催の広告研修会の内容とアンケート結果を共有した。
③製薬協コード・コンプライアンス推進委員会講演会の内容を共有した。
④2024年度製品情報概要等の審査結果報告と作成上の留意点改定について鈴木製品情報概要審査部会長が行なった。また、例年通り5月に委員長、部会長他数名で厚労省へ報告することとした。
⑤製薬協製品情報概要審査会管理責任者・実務担当者会の内容を共有した。
⑥製薬協コード・オブ・プラクティス改定説明会の内容を共有した。製薬協では2025年10月から施行が予定されている。協会としても改定する必要があり、2025年内を目途に改定作業を行なう。
⑦販売情報提供活動ガイドライン遵守状況調査の結果を共有し、協会ホームページへの掲載をすることの了解を得た。
⑧2024年度報告と2025年度計画・予算を委員長から提示され、承認した。2025年度の委員会開催等は新委員長に委ねた。
保険薬価委員会
委員長 坂上 誠(株式会社ツムラ)
保険薬価委員会は、2月18日、3月11日、4月15日、5月13日に会議を開催した。
3月7日に中間年薬価改定における薬価基準の官報告示(2025年4月1日実施)があり、最低薬価の引き上げがなされ医療用漢方製剤等についても実施された。また、中間年薬価改定による薬価変遷表の更新を行った。
私の健康法 ジャーナリスト 田原総一 さん
人と会うのが好き…

「仕事が趣味です。これから会いたいのは
トランプ、習近平、プーチン、日本人では上皇ですね」
●戦争を知る最後の世代として
昭和100年、戦後80年…、節目の年となった本年は歴史の転換期とされ、世情も穏やかならざる日々が続いている。米国と中国の覇権争いが激しさを増し、もはや戦争前夜との声も耳にする。きな臭さが増しつつある昨今、かかる風潮に誰よりも声を大にして異を唱えているのは現役最高齢のジャーナリストであり、わが国のジャーナリズムの新しい地平を拓いた田原総一朗さんに他ならない。
その名が轟いたのが1987年に放映が始まったテレビ朝日系の『朝まで生テレビ』。所謂、左右の論客による討論は深夜にも係らず高視聴率を獲得、見事な司会ぶりがお茶の間を大いに沸かせた。
以来、活字と放送の二つのメディアによる時代の最先端の問題を素早く鋭く抉る評論活動は人後に落ちない。現在、「全身ジャーナリスト」として抱いているのが以下の三つの目標。①日本に二度と戦争をさせない②言論の自由は身を挺して守る③野党を強くする
●伝説の朝食
先の4月15日に91歳の誕生日を迎えた。かつて昭和一桁生まれは強く逞しいと言われたように見た目も若々しい。元気の秘訣の一つは朝食へのこだわり。「伝説の朝食」と称される朝食を30年来、厨房に入り自らの手で作っている。そのメニューが独特だ。乳酸菌飲料、野菜ジュース、麦茶、リンゴジュース、牛乳、日本茶の飲料とヨーグルト、アンパン、サラダ( レタス)、リンゴ(夏場はスイカ)、バタートースト、目玉焼きを日ごと食している。調理から仕事場で黙々と口に運ぶ様子はYouTube「田原総一朗チャンネル」で放映され、健啖家ぶりに驚かされる。とは言え食に関して美食には関心がなく、肉は一切食さず、消化のいい白身の魚を摂っている。若い時から酒もたばこもやらず、甘党なのであんみつを好み、甘味処を見つけると足を運ぶのを楽しみにしているそうだ。
●抑肝散を朝晩に服用
生来、腸が弱く、60代の前半の頃に体調を崩したことがあったが、大事には至らなかった。近年は軽い心筋梗塞の気があるものの、規則正しい生活を送り、月に二度のスポーツ整体と二か月に一度、順天堂での検査を欠かさない。腸と血液さらさらの薬の他にせっかちとのことから抑肝散を服用している。 健康に気を配り、元気この上ないが、「人と会うと元気になります」の言の通り、少年さながらの旺盛な好奇心、人と会うことと仕事が好きなことが健康と元気の基になっている。これを支えているのが秘書(お嬢さんの和田眞理さん)。「秘書というよりプロデューサーですよ。いつも怒られています」と相好を崩す横顔は満更でもなさそうだった。
プロフィール
1934年4月15日、滋賀県彦根市生まれ 早稲田大学文学部卒業。岩波映画製作所、テレビ東京を経て、’77年フリーに。テレビ朝日系で’87年より『朝まで生テレビ』、’89年より2010年3月まで『サンデープロジェクト』に出演。 ’98年ギャラクシー35周年記念賞(城戸賞)を受賞。近著に『人生は天国か、それとも地獄か』(佐藤優氏との共著、白秋社)、『全身ジャーナリスト』(集英社)など。

