漢方・生薬情報
チンピ(陳皮)
チンピは,ウンシュウミカン Citrus unshiu Marcowiczまたは Citrus reticulata Blanco(Rutaceae)の成熟した果皮である.ウンシュウミカンは,日本で最も多く生産されている柑橘類で,日本でミカンというと通常これを指す.「蜜のように甘い柑橘」から「蜜柑」となり,「みかん」となったと考えられている.
ウンシュウミカンは,今から500年前頃に,古くから中国と交流のあった鹿児島県北西部の長島で発見されたと言われている.味が良く,皮が容易にむけて食べやすいにもかかわらず,生産栽培が行われるようになったのは明治時代以降である.ウンシュウミカンは花粉が退化していることから,通常は種子が出来ない.その為,江戸時代までは「子供が出来ない」に通じるとして嫌われており,種子がたくさんできる別種のキシュウミカンが広く普及していた.
ウンシュウミカンは,今から500年前頃に,古くから中国と交流のあった鹿児島県北西部の長島で発見されたと言われている.味が良く,皮が容易にむけて食べやすいにもかかわらず,生産栽培が行われるようになったのは明治時代以降である.ウンシュウミカンは花粉が退化していることから,通常は種子が出来ない.その為,江戸時代までは「子供が出来ない」に通じるとして嫌われており,種子がたくさんできる別種のキシュウミカンが広く普及していた.
原植物
1. 原産地又は分布
ウンシュウミカン Citrus unshiu Marcowicz:日本,中国(浙江省,広西壮族自治区)等
Citrus reticulata Blanco:インド,ミャンマー,フィリピン,中国南部等
ウンシュウミカン Citrus unshiu Marcowicz:日本,中国(浙江省,広西壮族自治区)等
Citrus reticulata Blanco:インド,ミャンマー,フィリピン,中国南部等
2. 植物形態
ウンシュウミカン Citrus unshiu Marcowicz
樹高3m位.枝にはとげがない.葉は互生し,葉柄は短くて翼があり,葉身は楕円形で両端が尖る.花期は初夏.こずえの葉腋に多数の白色の小さな花をつける.果実は扁球形,外皮は鮮やかな橙黄色で果肉は柔らかく多汁,甘味と適当な酸味がある.
Citrus reticulata Blanco
樹高3~4m.枝は柔軟で通例とげがある.葉は互生し,葉身は皮針形から楕円形,漸尖頭微凹端で全縁か不明の波状きょ歯縁.花期は3~4月.枝端と葉腋に帯淡紅白色花を1~数個つける.果実は扁円形で黄色か橙黄色である.
ウンシュウミカン Citrus unshiu Marcowicz
樹高3m位.枝にはとげがない.葉は互生し,葉柄は短くて翼があり,葉身は楕円形で両端が尖る.花期は初夏.こずえの葉腋に多数の白色の小さな花をつける.果実は扁球形,外皮は鮮やかな橙黄色で果肉は柔らかく多汁,甘味と適当な酸味がある.
Citrus reticulata Blanco
樹高3~4m.枝は柔軟で通例とげがある.葉は互生し,葉身は皮針形から楕円形,漸尖頭微凹端で全縁か不明の波状きょ歯縁.花期は3~4月.枝端と葉腋に帯淡紅白色花を1~数個つける.果実は扁円形で黄色か橙黄色である.
生薬
1. 基原
ウンシュウミカン Citrus unshiu Marcowicz又はCitrus reticulata Blanco(ミカン科 Rutaceae)の成熟した果皮である.
ウンシュウミカン Citrus unshiu Marcowicz又はCitrus reticulata Blanco(ミカン科 Rutaceae)の成熟した果皮である.
2. 産地
日本(愛媛県,静岡県,和歌山県 等),中国(浙江省,四川省,広西壮族自治区 等)
日本(愛媛県,静岡県,和歌山県 等),中国(浙江省,四川省,広西壮族自治区 等)
3. 生薬の性状
本品は形が不ぞろいの果皮片で,厚さ約2mmである.外面は黄赤色~暗黄褐色で,油室による多数の小さなくぼみがある.内面は白色~淡灰黄褐色である.質は軽くてもろい.
本品は特異な芳香があり,味は苦くて,僅かに刺激性である.
本品は形が不ぞろいの果皮片で,厚さ約2mmである.外面は黄赤色~暗黄褐色で,油室による多数の小さなくぼみがある.内面は白色~淡灰黄褐色である.質は軽くてもろい.
本品は特異な芳香があり,味は苦くて,僅かに刺激性である.
4. 成分
精 油:リモネン 等
フラボノイド配糖体:ヘスペリジン,ノビレチン 等
精 油:リモネン 等
フラボノイド配糖体:ヘスペリジン,ノビレチン 等
5. 日局18規格値
| ヘスペリジン | 換算した乾燥物に対し,ヘスペリジン4.0%以上 |
| 純度試験 | 総BHCの量及び総DDTの量 各々0.2ppm以下 |
| 乾燥減量 | 13.0%以下(6時間) |
| 灰分 | 4.0%以下 |
| エキス含量 | 希エタノールエキス 30.0%以上 |
| 精油含量 | 0.2mL/50.0g以上 |
6. 適用
漢方処方用薬である.健胃消化薬,鎮咳去痰薬とみなされる処方及びその他の処方に比較的高頻度で配合されている.
漢方処方用薬である.健胃消化薬,鎮咳去痰薬とみなされる処方及びその他の処方に比較的高頻度で配合されている.
7. 配合される主な漢方処方
胃苓湯,温胆湯,加味温胆湯,藿香正気散,杏蘇散,啓脾湯,香砂平胃散,香砂養胃湯,香砂六君子湯,香蘇散,柴芍六君子湯,滋陰降火湯,参蘇飲,神秘湯,清暑益気湯,清肺湯,蘇子降気湯,竹筎温胆湯,二陳湯,人参養栄湯,半夏白朮天麻湯,茯苓飲,分消湯,平胃散,加味平胃散,補気建中湯,補中益気湯,六君子湯 等
胃苓湯,温胆湯,加味温胆湯,藿香正気散,杏蘇散,啓脾湯,香砂平胃散,香砂養胃湯,香砂六君子湯,香蘇散,柴芍六君子湯,滋陰降火湯,参蘇飲,神秘湯,清暑益気湯,清肺湯,蘇子降気湯,竹筎温胆湯,二陳湯,人参養栄湯,半夏白朮天麻湯,茯苓飲,分消湯,平胃散,加味平胃散,補気建中湯,補中益気湯,六君子湯 等
もっと知りたい
生薬の品質を五感で判断する方法
- • よく乾いた橙黄色のもので,折ると芳香を放つものが良い.
- • 10~11月頃,成熟した時期に採集し,防虫・防湿に留意し冷所に保存する.外面は橙褐色~黒褐色.特異な芳香.味は苦く,わずかに刺激性.採取後少なくとも1年以上のものを使用し,長く保存(2~3年以上)された古いものほど良品とされる.ただし,古くなり黒味を帯びているものの中には,精油含量が低下している場合があるため,注意を要する.
同種の果物
Citrus reticulata Blancoを基原とする果物にポンカンとマンダリンオレンジ等があり,C. unshiu Marcowicz を基原とする果物には温州みかんがある.またこれらの他に枝変わりや交雑で生じた多くの品種があり,収穫期,果実の大小などが異なる.
その他柑橘類生薬
橘紅(桔紅):
Citrus grandis Osbeck. 柚、Citrus grandis Osbeck var. tomentosa Hort. 化州柚、などの果皮又は外果皮で、化橘紅(化州桔紅)と橘紅の商品名に分ける。
橘絡:
Citrus reticulata Blanco の果皮の内層のみを用いたものである。
青皮:
日本薬局方外生薬規格 Citrus unshiu Marcowicz,Citrus reticulata Blanco の未熟果皮(四花青皮)あるいは幼果(個青皮)である。中国産。
橙皮:
日本薬局方 Citrus aurantium L.Citrus aurantium L. var. daidai Makino の成熟した果皮である.
カンピ末:
第6改正日本薬局方収載されていた.Citrus 属諸種の果皮から精油を取り除いた後、乾燥し粉末にしたもの。散剤などの賦形剤としてでんぷんや乳糖などの代用にされていた.
枳実:
日本薬局方 ダイダイ Citrus aurantium L. var daidai Makino, Citrus aurantium L.又はナツミカン Citrus natsudaidai Hayata の未熟果実をそのまま又はそれを半分に横切したものである.
枳殻:ダイダイ Citrus aurantium L.var daidai Makino の未熟果実
夏皮:ナツミカン Citrus natsudaidai Hayata の果皮
金橘:キンカン Fortunella japonica(Thunb.)Swingle var. margarita(Lour.)Makino の果実
橘皮:
日本薬局方外生薬規格 キッピ1 タチバナ Citrus tachibana Tanaka コウジ Citrus leiocarpa Tanaka 及びザボン Citrus glandis Osbeck(Rutaceae)の成熟した果皮
日本薬局方外生薬規格 キッピ2 ウンシュウミカン Citrus unshiuCitrus reticulata Blanco(Rutaceae)の成熟した果皮
日本薬局方外生薬規格 キッピ1 タチバナ Citrus tachibana Tanaka コウジ Citrus leiocarpa Tanaka 及びザボン Citrus glandis Osbeck(Rutaceae)の成熟した果皮
日本薬局方外生薬規格 キッピ2 ウンシュウミカン Citrus unshiuCitrus reticulata Blanco(Rutaceae)の成熟した果皮
その他
-
• 現在の国産品は、缶詰やジュース加工時の副産物であり、熱湯や蒸気の熱を通して剥離したものが多く、精油含量の少ないものがある。
熱を通したものは,皮の裏が手剥き品に比べ褐色になっている. - • しっかり乾燥したものは、容易に割れる。しかし、一旦乾燥しても湿気を吸って戻ることがある。また、あまり乾燥し過ぎると精油が揮散してしまうことがある。
- • 昔は古くて色が褐色に変化したものが良いと言われていたが、現在は精油含量を重視するところから古いものはあまり使われない。
- • 七味唐辛子の材料の一つとしてよく使用されている.
代表的な成分の構造式