漢方・生薬情報
ビャクジュツ(白朮)
朝鮮半島,日本及び中国東北部の日当たりのよい丘陵地,山地に自生する多年生草本である.根茎は肥大し,横走~不整の塊状を呈し,節がある.根茎を薬用とする.
「山でうまいはオケラにトトキ,・・・」とかつては言われたように,春に出る若菜は茹でたり,天ぷらにして食されたりしてきた.また,屠蘇散の原料としても使われてきた.
京都の八坂神社には,オケラを加えて焚かれた御神火が灯籠に灯された火「をけら火」を参拝者が吉兆縄に移し,消えないようにくるくる回しながら家に持ち帰る「をけら詣り」という正月祭事がある.
湿気を払い,カビを防ぐ効果があるとして,梅雨の頃,倉庫内でこれを燻らせた.(「オケラ焚き」,また「ウケラ焚き」).
自生するものが少なくなっており,絶滅危惧種にリストされている.
「山でうまいはオケラにトトキ,・・・」とかつては言われたように,春に出る若菜は茹でたり,天ぷらにして食されたりしてきた.また,屠蘇散の原料としても使われてきた.
京都の八坂神社には,オケラを加えて焚かれた御神火が灯籠に灯された火「をけら火」を参拝者が吉兆縄に移し,消えないようにくるくる回しながら家に持ち帰る「をけら詣り」という正月祭事がある.
湿気を払い,カビを防ぐ効果があるとして,梅雨の頃,倉庫内でこれを燻らせた.(「オケラ焚き」,また「ウケラ焚き」).
自生するものが少なくなっており,絶滅危惧種にリストされている.
原植物
1. 原産地又は分布
オケラ:日本(本州,四国,九州),朝鮮半島、中国東北部
オオバナオケラ:中国(安徽省,浙江省,江西省,湖南省,湖北省,陝西省)
オケラ:日本(本州,四国,九州),朝鮮半島、中国東北部
オオバナオケラ:中国(安徽省,浙江省,江西省,湖南省,湖北省,陝西省)
2. 植物形態
オケラ:日当りのよい山地の乾いたところに多い多年草.草丈30~60cm.根茎は長い.葉は互生,長柄があり,羽裂または楕円形.花期は9~10月.枝の頂に白色または紅色の頭花をつける.雌雄異株.
オオバナオケラ:山地の斜面,低木林の林内,林縁に生える多年草.草丈30~80cm.根茎は肥厚し拳状で外皮は灰黄色.茎は直立し,上部で分枝する.葉は互生し,下葉には長柄があり,3列か,または羽状に5深裂.花期は9~10月.茎の頂に紫紅色の筒状花だけの頭花を単生する.雌雄異株.根茎は長い.花期6~9月,果期7~9月.
オケラ:日当りのよい山地の乾いたところに多い多年草.草丈30~60cm.根茎は長い.葉は互生,長柄があり,羽裂または楕円形.花期は9~10月.枝の頂に白色または紅色の頭花をつける.雌雄異株.
オオバナオケラ:山地の斜面,低木林の林内,林縁に生える多年草.草丈30~80cm.根茎は肥厚し拳状で外皮は灰黄色.茎は直立し,上部で分枝する.葉は互生し,下葉には長柄があり,3列か,または羽状に5深裂.花期は9~10月.茎の頂に紫紅色の筒状花だけの頭花を単生する.雌雄異株.根茎は長い.花期6~9月,果期7~9月.
生薬
1. 基原
- 1)和ビャクジュツ:オケラ Atractylodes japonica Koidzumi ex Kitamura
- 2)唐ビャクジュツ:オオバナオケラ Atractylodes macrocephala Koidzumi(Atractylodes ovata De Candolle)(キク科 Compositae)の根茎
2. 産地
1)和ビャクジュツ:中国東北部
2)唐ビャクジュツ:安徽省,浙江省
1)和ビャクジュツ:中国東北部
2)唐ビャクジュツ:安徽省,浙江省
3. 生薬の性状
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1)和ビャクジュツ
本品の周皮を除いたものは不整塊状又は不規則に屈曲した円柱状を呈し,長さ3~8cm,径2~3cmである.外面は淡灰黄色~淡黄白色で,ところどころ灰褐色である.周皮を付けているものは外面は灰褐色で,しばしば結節状に隆起し,粗いしわがある.折りにくく,折面は繊維性である.横切面には淡黄褐色~褐色の分泌物による細点がある.
本品は特異なにおいがあり,味は僅かに苦い.
本品の横切片を鏡検するとき,周皮には石細胞層を伴い,皮層の柔組織中にはしばしば師部の外側に接して繊維束があり,放射組織の末端部には淡褐色~褐色の内容物を含む油室がある.木部には大きい髄を囲んで放射状に配列した道管とそれを囲む著しい繊維束がある.髄及び放射組織中には皮層と同様な油室があり,柔組織中にはイヌリンの結晶及びシュウ酸カルシウムの小針晶を含む.
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2)唐ビャクジュツ
本品は不整に肥大した塊状を呈し,長さ4~8cm,径2~5cmで外面は灰黄色~暗褐色を呈し,ところどころにこぶ状の小突起がある.折りにくく,破砕面は淡褐色~暗褐色で,木部の繊維性が著しい.
本品は特異なにおいがあり,味は僅かに甘く,後に僅かに苦い.
本品の横切片を鏡検するとき,周皮は石細胞層を伴い,通例,皮層には繊維を欠き,師部放射組織及びその末端部には黄褐色の内容物を含む油室がある.木部には大きい髄を囲んで放射状に配列した道管とそれを囲む著しい繊維束がある.髄及び放射組織中には皮層と同様な油室があり,柔組織中にはイヌリンの結晶及びシュウ酸カルシウムの小針晶を含む.
4. 成分
- 1)和ビャクジュツ:アトラクチロン,3β-hydroxyatractylon,3β-acetoxyatractylon,アトラクチレノリドⅠ,Ⅱ,Ⅲ,diacetyl-atractylodiol,atractan A,B,C
- 2)唐ビャクジュツ:アトラクチロン,3β-hydroxyatractylon,3β-acetoxyatractylon,アトラクチレノリドⅠ,Ⅱ,Ⅲ,γ-cadinene,γ-patchoulene,butenolide A,スコポレチン
5. 日局18規格値
| 純度試験 | (1)重金属 20ppm以下 |
| (2)ヒ素 5ppm以下 | |
| (3)ソウジュツ(確認試験法) | |
| 灰分 | 7.0%以下 |
| 酸不溶性灰分 | 1.0%以下 |
| 精油含量 | 0.5mL/50.0g以上 |
6. 適用
解表薬(頭痛,顔面痛,化膿などの諸症)として処方に配合.
水毒を去り,健脾,止汗の目的で用い,益気の効が強いとされる.
解表薬(頭痛,顔面痛,化膿などの諸症)として処方に配合.
水毒を去り,健脾,止汗の目的で用い,益気の効が強いとされる.
7. 配合される主な漢方処方
胃風湯,胃苓湯,茵蔯五苓散,化食養脾湯,藿香正気散,加味帰脾湯,加味逍遥散,加味逍遥散合四物湯,帰脾湯,芎帰調血飲,芎帰調血飲第一加減,桂枝人参湯,啓脾湯,香砂養胃湯,香砂六君子湯,五苓散,柴芍六君子湯,柴苓湯,滋陰降火湯,滋陰至宝湯,四君子湯,実脾飲,十全大補湯,逍遥散,四苓湯,秦艽防風湯,参苓白朮散,清暑益気湯,銭氏白朮散,当帰散,当帰芍薬散,二朮湯,女神散(安栄湯),人参湯(理中丸),人参養栄湯,八味逍遥散,半夏白朮天麻湯,茯苓飲,茯苓飲合半夏厚朴湯,茯苓沢瀉湯,分消湯,防已黄耆湯,防風通聖散,補気建中湯,補中益気湯,抑肝散,抑肝散加陳皮半夏,六君子湯,苓姜朮甘湯,苓桂朮甘湯 等
胃風湯,胃苓湯,茵蔯五苓散,化食養脾湯,藿香正気散,加味帰脾湯,加味逍遥散,加味逍遥散合四物湯,帰脾湯,芎帰調血飲,芎帰調血飲第一加減,桂枝人参湯,啓脾湯,香砂養胃湯,香砂六君子湯,五苓散,柴芍六君子湯,柴苓湯,滋陰降火湯,滋陰至宝湯,四君子湯,実脾飲,十全大補湯,逍遥散,四苓湯,秦艽防風湯,参苓白朮散,清暑益気湯,銭氏白朮散,当帰散,当帰芍薬散,二朮湯,女神散(安栄湯),人参湯(理中丸),人参養栄湯,八味逍遥散,半夏白朮天麻湯,茯苓飲,茯苓飲合半夏厚朴湯,茯苓沢瀉湯,分消湯,防已黄耆湯,防風通聖散,補気建中湯,補中益気湯,抑肝散,抑肝散加陳皮半夏,六君子湯,苓姜朮甘湯,苓桂朮甘湯 等
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生薬の品質を五感で判断する方法
下部の両側が如意頭のようにふくれて大きくなっているものは,俗に雲頭と称されている.表面は灰黄色で断面は黄白色,雲頭があり,大型で,質は堅く丈夫で,空洞がないものが良品とされる.
調製法
11月上旬から2年生根茎を収穫する.掘り上げた根茎は,水洗後,日干し乾燥する.乾燥した根茎は磨きをかけて根を落とし,製品とする.
類似生薬
蒼朮 ホソバオケラとシナオケラ又はそれらの雑種の根茎
日局6改正以降,蒼朮は,atractylon を含まないか,又は極微量しか含まないという見解がまとまり,日局7改正からこの呈色反応により白朮と鑑別されている.
日局6改正以降,蒼朮は,atractylon を含まないか,又は極微量しか含まないという見解がまとまり,日局7改正からこの呈色反応により白朮と鑑別されている.
二つの学名
- 1)チュンベリー(スウェーデン) 1784年 長崎での蒼朮,白朮の栽培品について,それぞれ Atractylis lancea および,A.ovata と命名
- 2)ド・カンドール(現スイス) 1838年 地中海地方のAtractylis 属と東洋のものを分け,新たに Atractylodes 属にまとめ,蒼朮,白朮を それぞれ Atractylodes lancea DC,および A.ovata DC と改めた.
- 3)小泉源一(日本) 20世紀に入り,チュンベリーの標本とシーボルトの標本について,白朮に違いがあり,シーボルトの標本を新種 Atractylodes macrocephala Koidzumi と命名した.
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4)北村四郎(日本) 1954年 チュンベリーの標本とシーボルトの標本は同一であると発表.
これにより,A.ovata DC が優先するも,中国には北村説が伝わらず,中国では小泉説が定着. - 5)肖培根(中国) 1980年 チュンベリーの標本とシーボルトの標本を調査し,チュンベリーの標本は,Atractylodes lancea の幼植物であることがわかった.これにより A.ovata DC の名が消滅してしまい,Atractylodes macrocephala Koidzumi が正名となっている.
- JP18では,オオバナオケラの学名として,Atractylodes macrocephala Koidzumi(Atractylodes ovata De Candolle)が充てられている.
代表的な成分の構造式