ブクリョウ(茯苓)

アカマツやクロマツを伐採した後,数年を経て枯れた切り株の周囲の土中,深さ10~30cm位の所の根に付着するマツホド(担子菌)の菌糸が菌核を形成したものである.多くは不規則な塊状,球形,扁平形,長円形および長楕円形などで,大小種々である.名前の由来は,史記(紀元前91年)に「マツの神霊の気が伏結して生じたもので,伏霊と名付けた」と記されており,その後転写の誤りによって茯苓になったと本草綱目(1578年)で謳われている.

原植物

1. 原産地又は分布
日本,中国,北アメリカ.
2. 植物形態
菌核は不定形の塊状で,大きいものでは径30cmに達する.外面暗褐色~暗赤褐色できめが粗く,こぶ状のしわがあり,内部は白色から淡紅色を呈し,特殊なにおいがある.寄主の根を抱き込んでいるものを茯神という.子実体は菌核の表面に生じ,全背着生で蓋を作らない.初め白色,しだいに淡褐色となる.管孔を密生し,その内部に子実層を作が.容易には見られない.

生薬

1. 基原
本品はマツホド Wolfiporia cocos Ryvarden et Gilbertson(Poria cocos Wolf)(サルノコシカケ科 Polyporaceae)の菌核で,通例,外層をほとんど除いたものである.
2. 産地
中国(湖北省,雲南省,四川省 等)
3. 生薬の性状
本品は塊状を呈し,径約10~30cm,重さ0.1~2kgに達し,通例,その破片又は切片からなる.白色又は僅かに淡赤色を帯びた白色である.外層が残存するものは暗褐色~暗赤褐色で,きめが粗く,裂け目がある.質は堅いが砕きやすい.
本品はほとんどにおいがなく,味はほとんどないがやや粘液様である.
4. 成分
多糖類:pachyman
四環性トリテルペン酸:eburicoic acid,pachymic acid, dehydropachymic acid
その他:ergosterol 等
5. 日局18規格値
純度試験 (1)重金属 10ppm以下
(2)ヒ素   5ppm以下
灰分 1.0%以下
6. 適用
漢方処方用薬である.利尿薬,尿路疾患用薬,精神神経用薬,鎮暈薬,鎮痛薬,健胃消化薬,止瀉整腸薬,鎮吐薬,保健強壮薬とみなされる処方及びその他の処方に高頻度で配合されている.
7. 配合される主な漢方処方
胃風湯,胃苓湯,茵陳五苓散,加味温胆湯,香正気散,帰脾湯,加味帰脾湯,芎帰調血飲,桂枝茯苓丸,啓脾湯,鶏鳴散加茯苓,堅中湯,香砂養胃湯,香砂六君子湯,牛車腎気丸,五積散,五淋散,五苓散,柴芍六君子湯,柴苓湯,柴胡加竜骨牡蠣湯,酸棗仁湯,四君子湯,十全大補湯,十味敗毒湯,小半夏加茯苓湯,加味逍遙散,参蘇飲,参苓白朮散,清湿化痰湯,清心蓮子飲,清肺湯,疎経活血湯,竹茹温胆湯,釣藤散,猪苓湯,当帰芍薬散,二朮湯,二陳湯,人参養栄湯,八味地黄丸,半夏厚朴湯,半夏白朮天麻湯,茯苓飲,分消湯,補気建中湯,抑肝散,六君子湯,苓姜朮甘湯,苓桂甘棗湯,苓桂朮甘湯,六味丸 等

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生薬の品質を五感で判断する方法

質が重く帯赤白色で粘り気とうるおいのあるものを良品としている.
野生品は白色又は帯赤白色で,硬くて割れにくく充実したもので,外層が綺麗に剥けているものが良い.噛むと粘りがある.
栽培品は軟質でもろく,手でも割れやすく,噛んでも歯にくっつかないものが多い.色は白く,肉眼では野生品と区別しにくい.

成分解説

菌核にはpachyman〔β-(1→3)-glucanの多糖体〕が含まれ,乾燥質量の約93%を占める.

類似生薬

茯神 茯苓の中にマツの根の通ったもの
猪苓 チョレイマイタケ ラテン名 の菌核

代表的な成分の構造式