あなたの不調に寄りそえる漢方薬
~日常にありがちなイライラ、不安、不眠、めまい、頭痛、疲労感、冷え症などを中心に~

慶應義塾大学医学部 漢方医学センター 専任講師 堀場 裕子 先生

第27回市民公開漢方セミナー 2024年11月27日(水)

身体の不調を我慢している

 「腰痛や関節痛が出てきて外出が億劫だな……」という夫、「最近体力が低下して疲れやすくて何とかならないかしら」という妻がいました。病院にかかるほどではないですが、日々の症状に悩んでいました。そこである医師が夫には八味地黄丸(はちみじおうがん)、妻には補中益気湯(ほちゅうえっきとう)を飲むようにアドバイスしました(図1)。その漢方薬を飲み始めて半年後には、夫は「前のように身体を動かせるようになった」、妻は「(元々あった)尿漏れがなくなって外出が怖くなくなった」と喜んでおりました。実はこの夫婦は私の両親になります。両親のように、症状に悩んでいるけれど病院に行くほどではない、あるいは、病院の何科に行けばよいのかわからず我慢している、という方が非常に多くいらっしゃるのではないかと思います。
図1 日々の症状に悩む夫婦
 先ほど紹介した八味地黄丸は加齢による症状である、腰痛、関節痛、手足のしびれ、頻尿などによく用います。補中益気湯は、胃腸を元気にする働きを持ちます。消化機能が衰えていて虚弱体質で、夏やせ、病後の体力増強、食欲不振、胃下垂、脱肛、子宮下垂などに用います。「中(ちゅう)」(胃腸機能)を「補」って「気」を「益(ま)」し、「低下」したものを「向上」させる作用があります。
 補中益気湯の創方者は李(り)東垣(とうえん)(1180-1251)という中国の有名な医師です。彼自身が胃腸虚弱であったことと、戦場で多くの人が戦いではなく感染症などで倒れていくのを見て、内傷(ないしょう)(図2)を改善することの重要性を実感して補中益気湯を考案したとされています。
図2 内傷とは
 内傷とは病気に抗する体の機能が弱まった状態で、現代での原因は、ストレス、運動不足、偏食、疲労、睡眠不足、家事育児、介護などの積み重ねが考えられます。内傷の状態が続くと、日々の生活の中でさまざまな症状が出てしまう可能性が高くなります。そのため、「健康」を保つことが病気になりにくい体を作るために大切です。そもそも「健康」とは「病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」(世界保健機関憲章前文、日本WHO協会仮訳)とされています。自分では病院にかかっておらず健康に過ごしているつもりでも、なんらかの症状を我慢しているなら本当の健康ではないと言えるかもしれません。本日は、日々の不調に悩んでおられる方に寄り添うことができる漢方薬を紹介していきます。

漢方の道を進むことになった経験

 私が漢方の道を進むことになった経緯をお話しします。医師になり、産婦人科医として非常に忙しい日々を過ごしていました。1週間、病院から徒歩5分の自宅に帰れないハードワークでした。産婦人科に入局してから数か月後には体重は35kgほどになっており、やせすぎであることを同僚たちから心配されていました。月経が止まっていることに気づいたのは、入局6か月後でした。月経停止から1年以上経ったとき、大学生のときに飲んだことのある漢方薬を試してみたところ、月経が再開したという経験をしました。この時に漢方薬の効果を実感しました。
 その後、漢方の勉強をするやる気スイッチをいれてくれた患者さんとの出会いがありました。患者さんは、子宮体がん術後のフォローアップで外来に通院している方でした。外来を受診した時に、腹部膨満があり、冷えて足がむくみ痛くて歩けないことを訴えていました。そこで、なにかできることはないかと考え、胃腸を温めて冷えや腹部膨満を改善する大建中湯(だいけんちゅうとう)を処方しました。大建中湯は「大」きく「中」(胃腸機能)を「建」て(治す)という意味があります。腹が冷えて痛む、あるいは腹部膨満感に用います。カンキョウ、サンショウ、ニンジン、コウイという4つの生薬で構成されています。カンキョウは生姜、サンショウは山椒、コウイは麦芽糖ですから、身近なものから出来ています。大建中湯を飲み始めてから1か月後には、体が温まり、腹部膨満やむくみが取れたとおっしゃっていました。その時の患者さんの「こんなことならもっと早く先生に相談すればよかった」という言葉がとても印象に残っています。がんを治療することはとても大切ですが、がん治療後の患者さんの悩みや症状にもきちんと向き合うことの重要性を改めて実感し、漢方の道へ進むことを決めました。

さまざまな不調に

 日常診療でよくみられるさまざまな症状を西洋薬で対応しようとすると、例えば、便秘には下剤、腹部膨満感には整腸剤、痛みには鎮痛薬など一つの症状に一つの薬となります。たくさん症状があった場合、たくさんの薬を飲まなければならなくなります。しかし漢方薬であれば、便秘、下痢、腹部膨満感、痛み、冷え症という複数の症状に一つの漢方薬で対応できることがあります。なぜなら漢方薬はいくつかの生薬を組み合わせてできており、生薬同士の働きによりさまざまな効果を発揮するからです。実際に前述した子宮体がんの患者さんも複数の症状が大建中湯で改善していました。
図3 慶應義塾大学医学部漢方医学センター外来データ
 その患者さんも自覚していた「冷え」は西洋薬では対応が難しい症状です。そのため、当施設(慶應義塾大学医学部漢方医学センター)でのデータ(2008〜2013年、2,497名)をみても冷え症で悩まれている方が最も多く来院されている、という結果になっています(図3)。また、日本全国の20代〜50代の女性10,000人に対して行った隠れ我慢に関する実態調査1)によると(図4)、「冷え」は年齢とともに増加していく傾向がみられます。
図4 隠れ我慢に関する実態調査
 「冷え」に対する漢方薬は非常に多く(図5)、この中から患者さんに合った漢方薬を選んでいきます。医療用漢方製剤は148種類あり、顆粒、細粒や一部錠剤、丸剤、カプセル、湯液があるので患者さん自身の希望に合ったものが選ばれます。
図5 冷えに対する漢方薬

漢方の診察

 患者さんに適した漢方薬を選択する際に重要なのが漢方の診察です。特に問診(もんしん)をとても大切にしています。同じ頭痛でも、長時間パソコンに向かうと頭痛を訴える方や、雨の日や台風前などに頭痛が起こる方、寝不足で頭痛になる方、など原因も人それぞれ異なるからです。問診で患者さんの状態や症状の原因を詳しく探るのです。
 次に脈診(みゃくしん)(脈の強さや速さ、拍動などの状態をみます)、舌診で、患者さんの体質や状態を確認していきます。腹診(ふくしん)では、患者さんにベッドに仰向けになってもらい腹部を触診します。これらの4つ診察法(四診ししん)で、患者さんの状態を総合的に判断して処方を決めていきます。
 舌診における比較的分かりやすい所見を2つ紹介します。
▶歯痕舌(水毒の徴候)
 歯痕舌(しこんぜつ)とは、舌がむくんで舌の辺縁に歯の痕がついている状態です(図6)。水分の代謝が低下している(水毒(すいどく)といいます)可能性が考えられます。症状としてはむくみやすい、低気圧時の頭痛、吐き気、耳鳴り、全身倦怠感などがあります。物理的に歯が当たりやすい方などで歯痕舌の方もいますので、必ずしも歯痕=水毒というわけではありませんが、水毒の参考となる所見の一つです。
図6 歯痕舌の例
実際の症例を紹介します。
【症例1】
 40代前半の女性で主訴はむくみ、頭痛、めまいです。舌をみると表面がテラテラと反射しており歯痕がみられました。症状や舌の所見などから水の代謝がうまくいっていないと考え五苓散(ごれいさん)を処方しました(漢方医学的所見:寒証(かんしょう)[冷えがある]、水毒)。1か月後にむくみは軽減し、歯痕は変わりませんでしたがテラテラ感は消失していました。3か月後には頭痛、めまいも軽減してきました。
 五苓散は水の代謝が悪いとされる水毒タイプの方に対する第一選択薬です。むくみ、雨の日や台風前のめまいや頭痛、のどの渇きで水分を多く摂ってしまう、などの症状に用います。
 また同じ水毒でも、寒くなる季節に水毒の症状が悪化する方によい漢方薬として真武湯(しんぶとう)があります。冷房や冬に冷えると悪化する関節のしびれ・痛み、むくみ、めまい、ふらつき、冷たい飲み物で腹痛・下痢を起こすなどの症状を訴える方に用います。真武湯は冷えや痛みに効果のある附子(ぶし)を含み、別名「玄武湯(げんぶとう)」「温陽利水湯(おんようりすいとう)」ともいいます。玄は黒色の意味で、玄武は亀と蛇の姿でかたどられる北方の守り神です。附子の黒い色と冷えを温める作用が北方の神と一致して「玄武湯」と名付けられたとのことです。
▶舌下の静脈の怒張(瘀血の徴候)
 舌の裏にある静脈が怒張している状態を舌下(ぜっか)の静脈(じょうみゃく)の怒張(どちょう)といいます(図7)。血液の流れが悪い(瘀血(おけつ))サインと考えられています。瘀血の徴候としてほかに細絡(さいらく)があります(図8)。細絡とは、血液の流れが悪いと毛細血管が拡張して肌の表面に網の目のような細い血管が浮き出てみえる所見です。体のなかでも比較的やわらかい部分であるお腹、内腿、足首まわりなどに現れやすくなります。舌下の静脈の怒張や細絡があれば必ずしも瘀血であるということではありませんが、有力な所見となります。
図7 舌下静脈怒張
図8 細絡
ここで症例を紹介します。
【症例2】
 20代後半の女性で、ひどい月経痛があります。そのほかにも、肩こり、頭痛、便秘傾向、体の上半身はほてるのに下半身は冷えるといった症状があります。舌診をすると舌下の静脈の怒張がみられました。血液の流れが悪い瘀血と考え、瘀血を改善する漢方薬を処方しました。1か月後には怒張が消失し、冷えを感じにくくなったとおっしゃっていました。おそらく下半身の血液の流れが改善された結果と考えられます。
【症例3】
 60代女性で、冷えに伴う高血圧症があります。健康診断で高血圧を指摘されましたが、まだ降圧薬は飲みたくないとのことで漢方外来に来られました。太腿やふくらはぎに細絡がみられました。症例2と同様に瘀血と考え、瘀血を改善する漢方薬を処方しました(漢方医学的所見:虚実(きょじつ)寒熱(かんねつ)中間、瘀血)。2か月後には細絡がかなり薄くなり、血圧が低下傾向になりました。
 症例2、3の方ともに飲んでいただいたのは桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんよくいにん)という漢方薬です。血流をよくする(瘀血を改善する)代表的な漢方薬の一つです。桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)にハトムギであるヨクイニン(薏苡仁(よくいにん))を追加した構成となっていて、桂枝茯苓丸より血流を改善する効果が強くなっています。コロナ禍で外出する機会が減ったり、運動不足であったりすると血流の流れが悪くなり、肩こり、便秘、手足が冷える、下半身だけ冷える、目のクマがとれない、月経痛といった症状が出やすくなります。これらの瘀血の症状にとても有効な漢方薬です。

疲労倦怠感

 さきほど紹介した実態調査1)で、1位は「疲れ・だるさ」でした。どの年代の方をみても「疲れ・だるさ」を自覚し、多くの方が我慢している症状といえます(図9)。この「疲れ・だるさ」(疲労倦怠感)は冷えと同様に西洋薬での治療は難しい面があります。疲労倦怠感に対して用いる漢方薬はたくさんありますが、その中の一つを紹介します。それが加味帰脾湯(かみきひとう)になります。「脾(ひ)」(胃腸機能)の低下を元に「帰」すという意味があります。虚弱体質で血色が悪い方の、貧血、不眠症、精神不安、神経症を改善します。例えば、睡眠を十分にとっているはずなのに疲れが取れない、という方に質の良い睡眠を得るためなどに用います。
図9 隠れ我慢に関する実態調査
 加味帰脾湯の構成生薬をみてみましょう(図10)。いくつかにグループを分けてみました。なかでも四君子湯という胃腸機能を整える漢方薬を含んでいます。先ほども紹介したニンジンが入っていて、身体を元気にしてくれる作用があります。また精神的な症状の緩和に用いる生薬(安神(あんじん)薬、鎮静薬、理気薬(りきやく))が含まれているのが特徴です。
図10 加味帰脾湯の構成生薬
【症例4】
 40代後半の女性で、疲労と眠れないという訴えです。閉経後から寝つきが悪くなったといいます。コロナ禍で家族の生活スタイルが変わり、夜中に起こされることが多く眠りが浅くなりました。眠れないストレスと疲労感で日中も動く気になれないそうです。もともと偏食で貧血があり、近医内科で胃腸薬と鉄剤を出されていますが鉄剤で胃もたれしてしまいます。睡眠導入剤を処方されましたが、翌朝に頭重感が強くなりあまり飲みたくないとのことでした。体格はやや痩せで顔色不良(漢方医学的診断:やや虚証、寒証、血虚(けっきょ)[血の不足])。初診時の舌には白い苔がついていました。これは胃腸の機能が弱ったときに出やすい所見と考えられています。熟睡感がなく胃腸機能が弱っていたため、加味帰脾湯を処方しました。2か月後には白い苔はほぼ消失して色も赤みが増していました。熟睡感が出てきて、日中に動けるようになったそうです。何より胃腸の調子がよくなり食事をおいしく食べられるようになったとのことです。
▶加味帰脾湯の臨床試験
 ここで加味帰脾湯の研究を紹介します。加味帰脾湯による認知症患者のBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)とポジティブ感情の改善に関する報告2)です。BPSDとは認知症に伴って現れる行動障害(暴言、徘徊、攻撃性など)や精神症状(妄想、不眠、不安など)を意味します。ポジティブ感情とは喜び、感謝、安らぎ、希望などの肯定的な感情のことで、心理的成長や免疫力向上などを促し、健康にもよい影響があるとされています。
 試験では、アルツハイマー型認知症および混合型認知症の患者さん63例を、年齢や体格、検査の数値、症状などの分布がほぼ同じになるよう無作為に2群に分けました。加味帰脾湯を飲んでもらう群(1日3回、7.5g/日を28日間経口投与、漢方薬投与群)と、漢方薬を飲まない群(非投与群)と比較して、BPSDとポジティブ感情を評価しています(BPSDはNPI-NH[Neuropsychiatric Inventory Nursing Home Version]を用いてスコア化、ポジティブ感情はDE[I Delightful Emotional Index]を用いてスコア化)。こうした研究方法はランダム化比較試験と呼ばれ、信頼性の高い結果が得られる試験デザインとされています。結果、BPSD(NPI-NHスコア)とポジティブ感情(DEIスコア)とも非投与群に比べて漢方薬投与群で改善がみられました。

イライラ

 イライラが強いときに用いるのは抑肝散(よくかんさん)です。「肝」は漢方医学では感情をコントロールすると考えられています。「肝」を「抑」えてイライラなどの感情を鎮めることから名付けられています。
 抑肝散はもともと小児夜泣きや小児疳症など小児に用いられる漢方薬です。古典には子母同服(しぼどうふく)の記載があります。母親にかかる育児負担は非常に大きいため、育児に疲れ感情が不安定な母親と子どもが同じ漢方薬(抑肝散)を飲む子母同服がとても有効です。
 さらに現在では認知症の周辺症状であるBPSDのうち、暴言などの強い攻撃性のある患者さんに対しても用いています。患者さんとともに、介護で疲れている家族の方にも一緒に飲むことをお勧めしています。
【症例5】
 30代後半女性です。子どもの癇癪にイライラし、虐待を疑われて通報されたことがあるくらい怒ってしまうそうです。性格は神経質で真面目なため、ほぼ一人育児を誰にも相談できずにイライラは大きくなっていました。そこで初診時に抑肝散を処方しました。次回の診察のときには9歳の長女にも一緒に来てもらいました。子どもはしっかりとした受け答えですが笑顔はありません。抑肝散を子母同服してもらうようお子さんにも処方しました(漢方医学的所見:母子とも虚証、寒熱中間、気逆[気が下から上に逆上すること])。再診時には母「漢方で娘の癇癪がよくなるかも」、娘「お母さんと同じ漢方が飲めてうれしい」と言われました。お互いイライラがゼロになってはいませんが、親子でよい関係を築くきっかけになったのではないかと考えています。現在でも外来に一緒にいらっしゃっています。

さまざまな症状に万能薬な葛根湯

 葛根湯(かっこんとう)は、風邪の初期のほか、肩こり、扁桃腺炎、乳腺炎、中耳炎、神経痛、じんましんなどさまざまな症状に幅広く用います。誰にでもどんな症状にも葛根湯を出すという医者の話で「葛根湯医者」という落語の話しがあるほどです。どの年代にも幅広く用いることができる葛根湯は、日本医師会の災害医療チーム(JMAT)の被災地に携行する医薬品リスト3)に掲載されています(ほかの漢方薬では抑肝散、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)と抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)も掲載)。この薬剤選定に問われる項目としては、1. 大多数の医療従事者が知っていて扱いやすいこと、2. 値段が安価であること、3. 流通上のフローとストックで確保しやすいこと、4. JMAT携行資器材や資料で活動ができることが挙げられています。このように漢方薬は災害現場などでも活用しやすいのも特徴です。

風邪症状には早めに漢方薬を飲んでみる

 風邪に対応する漢方薬の種類は多くあります。風邪症状を自覚したら早めに漢方薬を飲んでみると、風邪が悪化せずに済むことが多くあります。私自身も体調を管理するために、漢方薬を日々活用しています。いくつか例を挙げますと以下のようになります。皆様の参考になれば幸いです。
悪寒、風邪の初期・・・・・・・・・・・・・・・葛根湯
発熱したら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・麻黄湯(まおうとう)
喉からくる風邪、鼻水・鼻詰まり・・・・桂枝湯(けいしとう)+麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
咳が止まらない、すぐに止めたい・・・麦門冬湯(ばくもんどうとう)、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
喉がイガイガする・・・・・・・・・・・・・・・桔梗湯(ききょうとう)
風邪の後に咳が残る・・・・・・・・・・・・小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)

Q&A

Q1. 漢方薬は長く飲まないと効果がないのでしょうか

A1. 葛根湯などの風邪の初期に用いる漢方薬は、1、2回の内服で症状が改善することがあります。そのほか、雨が降っているときの頭痛などに用いる五苓散や、こむら返りなどに用いる芍薬甘草湯も速効性があります。必ずしも、漢方薬は長く飲まなければならない、というわけではありません。一方で、本日紹介した補中益気湯、八味地黄丸、加味帰脾湯などは比較的長く飲んでいただいたほうが効果は実感しやすい漢方薬です。

Q2. ストレスに対する漢方薬は症状によっていくつかの種類がありますが、複数の症状がある場合、どのように選べばよいでしょうか

A2. 症状が複数ある患者さんは多いと思います。漢方医学では本日紹介した四診で、患者さんの症状の原因を探ります(証(しょう)の決定)。例えばイライラの症状がある場合に、イライラの原因やイライラ以外の症状を考え適した漢方薬を処方します。そうするとイライラだけでなく、ほかの症状も一緒に改善することがあるのです。
【文献】
1)隠れ我慢による実態調査. 2021.(https://www.tsumura.co.jp/onemorechoice/survey/)
2)Nogami, T. et al. Psychogeriatrics. 2023, 23(3), p.503-511.
3)日本医師会. JMAT携行医薬品リストVer.3.0. 2024,(https://www.med.or.jp/doctor/eq201103/carry/001630.html)