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生薬の解説

オウゴン (黄芩)

一般にコガネバナの和名が用いられ,漢字で「黄金花」とするところから,黄金のような黄色の花が咲くように思われやすいが,実際は紫紅色の花である.享保年間に朝鮮半島より渡来,その後,奈良県や群馬県に広がった.コガネバナ(黄金花)の名は,根が黄色であることに基づいたものである.

原植物

  1. 原産地又は分布

    中国北部,東シベリア,朝鮮半島にかけて分布する.

  2. 植物形態

    高さは30~60cm,根は円錐形,茎は四稜形,基部から多数分枝して上部は直立する.葉は対生してほとんど無柄.披針形で長さ1.5~5cm,尖頭で全縁,縁に毛がある.花は6~9月頃茎の上部に穂状花序をつけ,紫紅色の唇形花を多数腋生する.

生薬

  1. 基原

    コガネバナ Scutellaria baicalensis Georgi (シソ科 Labiatae) の周皮を除いた根を乾燥したもの.

  2. 産地

    中国 (山東省,河北省,内蒙古自治区,山西省 等)

  3. 生薬の性状

    本品は円錐状,円柱状,半管状又は平板状で,長さ5~20cm,径0.5~3cmである.外面は黄褐色を呈し,粗雑で著明な縦じわを認め,ところどころに側根の跡及び褐色の周皮の破片を残す.上端には茎の跡又は茎の残基を付ける.ときに木部の中心部は腐朽し,また,しばしばうつろとなる.質は堅いが折りやすい.折面は繊維性で黄色である.
    本品はほとんどにおいがなく,味は僅かに苦い.
    本品の横切片を鏡検するとき,残存したコルク層は6~20細胞層で,皮層は柔組織からなり,厚壁細胞が散在する.木部は柔組織からなり,道管及び少量の木部繊維が認められる.道管は通常,群をなし,接線方向若しくは放射方向に配列するか又は不定形を呈する.木部の中心部が腐朽するものでは,空洞化した部分の周囲にコルク層が認められる.皮層及び木部の柔細胞中には,単粒及び複粒のでんぷん粒が含まれる.


栽培 中国産


野生 中国産

  1. 成分

    フラボン類:バイカレイン(baicalein),オウゴニン(wogonin),バイカレインの配糖体であるバイカリン(baicalin) 等.

  2. 日局18規格値

    バイカリン10.0%以上
    純度試験(1) 重金属 10ppm以下
    (2) ヒ素 5ppm以下
    乾燥減量12.0%以下(6時間)
    灰分6.0%以下

  3. 適用

    健胃消化薬,止瀉整腸薬,瀉下薬,解熱鎮痛消炎薬,消炎排膿薬,尿路疾患用薬,止血薬,高血圧症用薬,精神神経用薬とみなされる処方に配合されている.

  4. 配合される主な漢方処方

    黄芩湯,乙字湯,黄連解毒湯,柴陥湯,柴胡桂枝湯,柴胡清肝湯,柴苓湯,三黄瀉心湯,三物黄芩湯,生姜瀉心湯,小柴胡湯,潤腸湯,辛夷清肺湯,清肌安蛔湯,清湿化痰湯,清上防風湯,清肺湯,大柴胡湯,当帰散,半夏瀉心湯,補気建中湯,防風通聖散,竜胆瀉肝湯 等

もっと知りたい

呼び名
堅くてうつろのない紡錘状のものを丸軸,条芩,枝芩,子芩と称し,尖芩は,条芩の先端の細かい部分のことをいう.老根で中がうつろとなったものを枯芩,平手及びその破片を片芩と称する.これらはオウゴンのみがき等調製時に出来るものである.

生薬の品質を五感で判断する方法

  • 条芩は,野生品で色は黄褐色(いわゆる黄金色)で,大きいものは径4~5cmに達するものもある.また,生育年数が長いものには中心部の木部が腐朽(別名アンコ)し,空洞化したものが見られる.
  • 尖芩はアンコがなく,色も良いとされる.
  • 栽培品の色は黄色~黄緑色で野生品とは異なる.収穫は2~3年で行われ,アンコが少ない.


野生品のバイカリン含量は,おおよそ10~15%で,一般的に,栽培品は野生品より高い傾向がある.

代表的な成分の構造式