生薬の解説
タイソウ (大棗)
ナツメの果実を乾燥したものが大棗で,ナツメは,桃・栗・杏・李(すもも)と並んで,中国では五果と呼ばれて珍重されてきた.ナツメの熟した果実は甘酸っぱくわずかに青リンゴのような味である.日本には奈良時代に渡来し,平安時代に盛んに栽培されるようになった.「万葉集」にも詠われ,宮中の儀式や諸制度などを記した「延儀式」(927年)には,信濃,丹後,因幡などから乾棗(ほしなつめ)が献上されていたという記載がみられる.ナツメという名前の由来にはいくつかの説があり,中でも初夏になってようやく芽が出ることから夏芽とする説が有力である.また,茶器の棗に似ているのでナツメと呼ぶのではなく,果実のナツメに似ているので,茶器に「棗」と呼び名がついたと思われる.
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原植物
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生薬
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もっと知りたい
生薬の品質を五感で判断する方法生薬としての使用は外形が大きく,紫紅色で中果皮の果肉が厚く,果核は小さく,味は甘く,咀嚼して粘液性に富み,潤いを持つものを良品とする.
加工方法
ナツメの果実を秋口の完熟前のやや赤めのうちに採取し,天日乾燥する.又は軽く蒸す,あるいは湯通しして乾燥する.この調製は,果実を乾燥しやすくするのと,付いている虫を殺す為(もともと虫が付き易い)である.
ナツメの用途及び種類
①食品用として烏棗と紅棗があり,烏棗は煮て燻製し,黒くなっている.紅棗は小粒で,俵型で細長く,種子は小さく,果肉が多い.甘味が強く,食品として多く使われている.
②薬用として使用されている中国産は,広卵形と楕円形のものがある.広卵形のものは山東省産で大泡棗と呼ばれ,粒が大きく,果肉が多く,糖質が多く,傷みやすい.楕円形のものは河南省産で大灰棗と呼ばれ,比較的糖質及び粘り気が少なく,傷みにくい.
保管における注意点
大棗は保存の難しい生薬であり,刻んでも餅のようにくっついてしまうことがある.また,普通内部が白っぽいが,ベトついたものは黒っぽくなり,飴色で餅状になるため,温度,湿度の管理が重要である.
産地による特徴
日本産のナツメの果実は概して果肉が薄く,甘味がやや弱く,わずかに酸味がある.中国産は果肉が厚く種子が小さく,味は甘く酸味が少ない.
代表的な成分の構造式

マスリン酸

Zizyphus saponinⅡ