トップ >> 生薬一覧 >> シャクヤク

生薬の解説

シャクヤク (芍薬)

「立てば芍薬,座れば牡丹」とは,花の美しさに擬えたばかりでなく,芍薬や牡丹を薬として服用すれば,女性ホルモン分泌を整え,肌も美しく艶やかになるということが秘められている.その花の様子や美しさが「婥約」(姿がしなやかで美しいの意)としている.つまり,きわめて美しく麗しいことからきた名称である. <「生薬単」より>

原植物

  1. 原産地又は分布

    原産地は中国北部で,東シベリアから中国北部に分布する.

  2. 植物形態

    草丈50 ~ 80 cm.根は狭紡錘形か円柱状に肥厚する.茎は数本が直立して無毛.葉は互生し,1 ~2回3出羽状複葉で小葉は皮針形から卵形で,ときに2~3裂する.花期は5月.茎の頂きに紅色,白色など多種の大形花を1~3個つけ,しばしば重弁となる.

生薬

  1. 基原

    シャクヤク Paeonia lactiflora Pallas (ボタン科 Paeoniaceae) の根を乾燥したもの.

  2. 産地

    日本(北海道,奈良県,群馬県等) 中国(安徽省,四川省等)

  3. 生薬の性状

    本品は円柱形を呈し,長さ7~20cm,径1~2.5cm,外面は褐色~淡灰褐色で,明らかな縦じわ及びいぼ状の側根の跡と横長の皮目がある.横切面は緻密で淡灰褐色を呈し,木部は淡褐色の放射状の線がある.本品は特異なにおいがあり,味は初め僅かに甘く,後に渋くて僅かに苦い.


皮付き 中国産


皮去り 日本産

  1. 成分

    モノテルペン配糖体:ペオニフロリン(paeoniflorin),アルビフロリン(albiflorin) 等.
    その他安息香酸,ガロタンニン等

  2. 日局17 規格値

    ペオニフロリン2.0%以上
    純度試験(1)重金属  10 ppm以下
    (2)ヒ素  5 ppm以下
    乾燥減量14.0 %以下(6時間)
    灰分6.5 %以下
    酸不溶性灰分0.5 %以下

  3. 適用

    鎮痛鎮痙薬,婦人薬,冷え症用薬,かぜ薬,皮膚疾患用薬,消炎排膿薬とみなされる処方に配合されている.

  4. 配合される主な漢方処方

    温清飲,黄耆建中湯,葛根湯,桂枝湯,桂枝茯苓丸,柴胡桂枝湯,四物湯,芍薬甘草湯,十全大補湯,小建中湯,小青竜湯,加味逍遙散,当帰建中湯,当帰芍薬散,薏苡仁湯 等

もっと知りたい

生薬の品質を五感で判断する方法

  • 内部の色が白く太く充実したものが良品とされる.
  • 特有の香りが強く,渋味のあるものが良品とされる.


生薬加工調製時の注意事項

  • ガロタンニン等を含むため変色しやすいので,乾燥調製時等は,注意を要する.


本品は,一般的に栽培されたものから調製され,白芍と称される.栽培期間は概ね4~6年である.

真芍と赤芍について

  • 真芍について

    一般的には皮去りで湯通ししたものが真芍と称される.

  • 赤芍については,諸説あるが概ね次の3通りである.

    ①表面の皮を残し乾燥した物.(皮付き芍薬)
    ②野生種から調製されたもの
    ③中国の東北地方から内蒙古に分布する,基原の異なる木芍薬または草芍薬と称されるものから調製されたもの.


生薬の性状の外面の色調(褐色~淡灰褐色)は,皮付き皮去両方の色合いを表現しているものである.

代表的な成分の構造式