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生薬の解説

タクシャ (沢瀉)

 アジア東部に広く自生する,オモダカ科の沼沢性多年草.水田や沼地,河川の浅瀬にみられる.他のオモダカのように球根は作らず,種子により増殖する.日本での生産は少なく現在は中国・韓国からの輸入品が流通する. 
 『神農本草経』の上品に収載されている.別名を水瀉,鵠瀉,及瀉,芒芋,禹孫などと称する.李時珍は「水を去ることを瀉という.沢水の瀉ぐが如しという意味である.禹は全国の水を整理,処理した(禹の治水事業)というところから,それに擬して禹孫という」といっており,その名はすべて薬効を示したものである.古来から除湿,利尿の要薬として頻用されている.

原植物

  1. 原産地又は分布

    アジア東部

  2. 植物形態

    アジア東部に自生する沼沢生の多年生草本.高さ50~100cm.塊茎は球形,多数の細根を密生する.葉は根茎から輪生,葉柄の長さ5~50cm,基部は鞘状を呈す.葉身はだ円形~卵状だ円形,長さ3~18cm,先端は急尖,基部心形,全縁.花茎は葉叢中より生出する.複輪生総状花序を頂生し,多数の白色小花(3弁花)を付ける.そう果は多数,倒卵形,扁平,長さ1.5~2 mm.花期6~9月,果期7~9月.根茎は短く,ひげ根をそう生する.

生薬

  1. 基原

    サジオモダカ Alisma orientale Juzepczuk(オモダカ科 Alismataceae)の塊茎で,通例,周皮を除いたものである.

  2. 産地

    中国(四川省,福建省等)

  3. 生薬の性状

    本品は球円形~円錐形を呈し,長さ3~8cm,径3~5cm,ときには2~4に分枝して不定形を呈するものがある.外面は淡灰褐色~淡黄褐色で,僅かに輪帯があり,根の跡が多数の小さいいぼ状突起として存在する.切面はほぼ密で,その周辺は灰褐色,内部は白色~淡黄褐色である.質はやや軽く,砕きにくい.
    本品は僅かににおいがあり,味はやや苦い.

  4. 成分

    トリテルペン:アリソールA,B,C等
    セスキテルペン:alismol,alismoxide,orientarol等

  5. 日局18規格値

    純度試験(1) 重金属 20ppm以下
    (2) ヒ素 5ppm以下
    灰分5.0%以下
    酸不溶性灰分0.5%以下

  6. 適用

    漢方処方用薬である.利尿薬,尿路疾患用薬,鎮暈薬とみなされる処方及びその他の処方に配合されている.

  7. 配合される主な漢方処方

    胃苓湯,茵蔯五苓散,啓脾湯,牛車腎気丸,五苓散,柴苓湯,秦艽防風湯,当帰芍薬散,猪苓湯,八味地黄丸,半夏白朮天麻湯,茯苓沢瀉湯,分消湯,補気建中湯,竜胆瀉肝湯,六味丸 等

もっと知りたい

生薬の品質を五感で判断する方法

  • 肥大し充実して重質のもの,新しい断面が淡黄白色を呈しているものを良品とする.古くなると,断面の色が褐変し,沢瀉特有のにおいが低下してくる.
  • なるべく新鮮で,周皮が良く剥けているものが良い.
  • 川沢瀉は,四川省,貴州省,雲南省周辺で生産され,やや小粒で3~3.5cmの円形の品が多く,建沢瀉は,福建省から江西省周辺で生産され,大粒で,円形若しくは卵形で直径3.5~4cm程もある.


調製法

冬季に掘り上げ,水洗い後加熱乾燥し,ひげ根及び外皮を除く.


その他

  • 昭和30年代頃まで流通していた日本産は,小粒で直径が2~2.5cm程の円形若しくは楕円形で,中には不定形のコブがあり,周皮や毛根が研ぎ切れず一部付着した品もあった.更に火力乾燥したと見られる褐色に変色した品も混入していた.
  • 基原植物のサジオモダカは,葉がサジ(匙)の形をしたオモダカという意味.オモダカ(面高)は,「面目が立つ」に通じるとか,葉の形が矢じりに似ていて別名「勝ち草」だということから,武家の家紋として普及した.
  • オモダカの漢字表記で,沢瀉は,間違いである.


代表的な成分の構造式

alisolA


alismol