生薬の解説
ハンゲ (半夏)
基原植物のカラスビシャクは,東アジア各地に自生するサトイモ科の多年草で,畑や山地の道端に雑草として普通に見られる.カラスビシャクは,ウラシマソウやマムシグサを小さくしたような仏炎苞がある.カラスビシャクの別名ヘソクリは,昔,農家の年寄や主婦が,畑のカラスビシャクの塊茎を集めて売って,ヘソクリにしたからと言う説や,ひげ根を除いた塊茎は,いかにもおへそをくり抜いたような形をしているからという説がある.
半夏とは,暦の雑節の一つで,夏至から11日目(7月2日頃)の「半夏(半夏生)」の頃にカラスビシャクが生えるので「半夏」と呼んだとも,逆にカラスビシャクが「半夏」と呼ばれたのが先で,「半夏生じる」時節ということで「半夏」という名称ができたという説もある.
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原植物
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生薬
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もっと知りたい
生薬の品質を五感で判断する方法
粒が大きく,外面純白色で,質が充実したものが良い.
コルク層がよく剥けており,色の白い品が良品とされているが,年数の経過と共に灰褐色に変色する.
本品の特長はその上部にくぼみがあること,また,径により高さの方が短いことであり,水半夏との区別点でもある.
成分解説
ハンゲの味は「えぐ味」と描写されるが,未加工の半夏を口にしようものなら「えぐ味」などという生易しいものではない,強烈な舌や喉の痛みに苦しむことになる.この強烈なえぐ味の原因の一つは,3,4ジヒドロキシベンズアルデヒドの配糖体.もっとも,このえぐ味の強いものの方が良品とされる.もし,口にしたなら,ショウガ(生姜)をかじると多少解消される.成分中のシュウ酸カルシウムの針晶も,えぐ味の原因とされる.
類似生薬
フェノール性化合物のペオノールと,その配糖体であるpaeonolideとpaeonosideが特有のものとして知られている.
類似生薬
形状が類似するものに中国産の水半夏と称するものがある.これは,Typhonium flageliforme Blume(Araceae)の塊茎で,半夏特有の凹入した残茎基もなく,輪節様のしわがあること,淡褐色~赤褐色の斑点があること,および内部構造上では,タンニン様物質を含む細胞が存在することなどで判別できる.
また,Pinellia pedatisecta(掌葉半夏)は柔細胞の大きさの違い以外でも,粘液細胞の大きさについても市場半夏が径75~150μmに対し,掌葉半夏では50~118μmと小さい.したがって両種共に半夏と区別され,局方には該当しない.

掌葉ハンゲ=虎掌ハンゲ(Pinellia pedatisecta)
その他
また,ドクダミ科のハンゲショウも,「半夏」の時期に花が咲くので「ハンゲショウ」になったという説もある.
香港市場では普通の半夏のほか,小形のものを集めて「珍珠半夏」,大形のものを「大玉半夏」と称しているが,「大玉半夏」には日局品と基原を異にするもの(Pinellia tripartita Schott)がある.代表的な成分の構造式

3,4-dihydroxy benzaldehyde diglucoside

homogentisic acid