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生薬の解説

ニンジン (人参)

 わが国への人参の渡来は天平11年(739年),渤海国使の献上品にあったのが最初である.その後,何度となく輸入されており,江戸時代初期には生糸や絹織物と並んで朝鮮半島からの重要な輸入品目となった.オタネニンジン栽培は享保年間(1716-36)に日光の幕府御薬園で成功したことが始まりであるとされ,その後,幕府の奨励により松江藩(島根県)や会津藩(福島県)などで藩営事業として取組まれた.これらの栽培地に長野県を合わせ,日本の三大栽培地となっていた.

原植物

  1. 原産地又は分布

    中国東北部,朝鮮半島に分布

  2. 植物形態

    茎は直立し高さ約60cm,単一で無毛,頂部にほぼ一葉ずつ,年ごとに増す葉を数葉仮輪生する.この葉は掌状複葉で,葉柄は葉身とほぼ等長,小葉は5枚で頂片が最も大きく,各片は倒卵形~倒披針形,鋭尖頭,細鋸歯縁,長さ6~30cm,小葉柄の長さは1~2cmである.茎頂から花茎を単生し,球状の散形花序を付け,淡緑色の小花が夏に多数開く.液果は赤熟する.

生薬

  1. 基原

    オタネニンジン Panax ginseng C.A. Meyer (Panax schinseng Nees)(ウコギ科 Araliaceae)の細根を除いた根,又はこれを軽く湯通ししたもの.

  2. 産地

    中国 (吉林省,黒龍江省,遼寧省),韓国,日本

  3. 生薬の性状

    本品は細長い円柱形~紡錘形を呈し,しばしば中ほどから2~ 5本の側根を分枝し,長さ5~ 20cm,主根は径0.5~3 cm,外面は淡黄褐色~淡灰褐色を呈し,縦じわ及び細根の跡がある.根頭部はややくびれて短い根茎を付けることがある.折面はほぼ平らで,淡黄褐色を呈し,形成層の付近は褐色である.
    本品は特異なにおいがあり,味は初め僅かに甘く,後にやや苦い.

  4. 主な成分

    トリテルペノイド配糖体:ギンセノシド Rb1, ギンセノシド Rg1
    ポリアセチレン化合物:panaxynol
    精 油:panaxacol,β-elemene

  5. 日局18規格値

    ギンセノシドRg10.10%以上
    ギンセノシドRb10.20%以上
    純度試験(1) 重金属 15ppm以下
    (2) ヒ素 2ppm以下
    (3) 異物  茎及びその他の異物2.0%以上を含まない
    (4) 総BHCの量及び総DDTの量 各々0.2ppm以下
    乾燥減量14.0%以下(6時間)
    灰分4.2%以下
    エキス含量希エタノールエキス 14.0%以上

  6. 適用

    健胃消化薬,鎮痛鎮痙薬,滋養強壮保健薬とみなされる処方及びその他の処方に比較的高頻度で配合されている.

  7. 配合される主な漢方処方

    胃風湯,温経湯,黄連湯,加味温胆湯,甘草瀉心湯,帰脾湯,加味帰脾湯,桂枝人参湯,啓脾湯,呉茱萸湯,香砂養胃湯,香砂六君子湯,柴陥湯,柴胡加竜骨牡蛎湯,柴胡桂枝湯,柴芍六君子湯,柴苓湯,四君子湯,炙甘草湯,十全大補湯,生姜瀉心湯,小柴胡湯,小柴胡湯加桔梗石膏,参苓白朮散,清暑益気湯,大建中湯,竹茹温胆湯,当帰湯,人参湯,人参養栄湯,麦門冬湯,半夏瀉心湯,半夏白朮天麻湯,白虎加人参湯,茯苓飲,補気建中湯,補中益気湯,六君子湯 等

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生薬の品質を五感で判断する方法

 類白色で太く,潤いがあり,重質で,味甘く後わずかに苦いものを良品としている.


主な人参の種類

1)白参:4~6年根の皮を剥いで乾燥したもの.

2)紅参:4~6年根を水洗後,蒸して乾燥したもの.

3)生干人参:4~6年根を水洗後,ヒゲ根(細根)を除去し,皮付きのまま乾燥したもの.

4)湯通人参(御種人参):生人参を水洗いした後,80~90℃の湯に8~10分間湯通しし,乾燥したもの.内部の色は飴色を帯びる.


他の人参類

1)竹節人参(トチバニンジン Panax japonicus C. A. Meyer)
人参の代用として用いられてきた.オタネニンジンと地上部は似ているが,竹節状の根茎を通例,湯通ししたものである.

2)西洋人参(アメリカニンジン Panax quinquefolius L.) 別名:広東人参
北アメリカ,カナダ原産の植物だが,過剰採取されたため,野生品はわずかである.薬効はオタネニンジンに似ているが,日本では,医薬品での使用は無く,サプリメント等に使用されている.

3)三七人参(サンシチニンジン Panax notoginseng (Burk.) F. H. Chen)
中国原産だが,現在野生のものはほとんどない.中国雲南省周辺で栽培されている.
日本では,医薬品での使用は無く,サプリメント等に使用されている.

4)シベリア人参(エゾウコギ Acanthopanax senticosus Harms)(=日局「シゴカ」)
広範囲な健康保持効果を持つ強壮作用があり,現在はストレス,心理的圧迫感のあるときに利用される.オタネニンジンに似た効果を持つとされる.


代表的な成分の構造式

ginsenoside Rg1


ginsenoside Rb1